ベネズエラ:昨年5月の大統領選挙は不正だったのか?

  • 2019.02.09 Saturday
  • 05:36

トランプが他国の選挙を承認する権利を持っているのは何故だ。国際選挙監視団は役に立た無いのか?米国ではロシアの選挙への干渉が騒がれているのに、大掛かりな干渉だけでなく結果そのものを認めないとは。マスコミは何故疑問を持たないのか?


ベネズエラの大統領は本当に、立候補していない無名の者から2018年の選挙を「盗んだ」のか?

(Did Venezuela’s President Really ‘Steal’ the 2018 Election from an Unknown Who Didn’t Run?)

2019年2月7日 venezuelanalysis(By Joe Emersberger - The Canary)発

Falcon and Maduro squared off in the May 20 elections (Jamez42 and Hugoshi)

5月20日の選挙で対決したファルコンとマドゥーロ。(Jamez42 and Hugoshi)

 

ジョー・エマースバーガーが、マドゥーロが2018年の大統領選挙を「盗んだ」と主張している主要メディアを検証する。

 2月1日付けのロイターのニュース記事で、米国やカナダおよび幾つかのラテン・アメリカの政府が、ベネズエラのニコラス・マドウーロ大統領が2018年5月の「彼の2期目の選挙を盗んだ」と主張していると報道した。それ故、彼らは野党議員ファン・グアイドをベネズエラの暫定大統領として承認した。

 

【ちょっと待ってくれ。彼らはマドゥーロがグアイドから選挙を「盗んだ」と言うのか?】

 意味が分からない。というのもグアイドは2018年の大統領選挙に立候補しなかったのだから。

 エンリ・ファルコンが、その選挙でマドゥーロから400万票(47%)以上の差ではるかに引き離された2位に終わった野党政治家だった。誰も、数百万の票を気にしないが、どれだけの票がファルコンから盗まれたかを示すものはいないし、示そうとするものもいなかった。ベネズエラの選挙システムでは、どんな選挙でもほんのわずかな票の水増しでも検出可能なのだ。それは何故か、2012年にジミー・カータ―がこの選挙システムは世界で最も素晴らしいと言っている。

 あの選挙システムの健全性は、ファルコンが選挙に立候補すると決めたことをめぐって、その他のマドゥーロの競争相手たちから彼が浴びた辛辣な批判を説明するのを助けてくれる。米国の高官たちは、もしファルコンが立候補すれば、彼に制裁を加えると脅迫した。選挙期間中、ファルコンの最高アドバイザーの一人は、マドゥーロとファルコンの間に秘密協定があるという「嘘を広めるのは止めろ」と野党『人民の意志』党(グアイドの政党)に公に要請するほど憤慨していた。

 

【ファルコンは実際に立候補した有名な政治家である】

 もちろん、投票の水増しは別にしても、選挙はその他の方法で不公平である可能性は大いにある。立候補資格の無い二人の主要な野党候補者、レオポルド・ロペスとエンリケ・カプリレスについて語られることが多い。

 では、ファルコンは、(トランプがベネズエラの大統領として指名する前のグアイドのような)、簡単に負けてしまうから立候補が許された目立たない政治家だったのだろうか?ベネズエラの世論調査会社『ダータナリシス』によれば、そうではない。この会社は、最近20年間で国際メディアが最も引用した野党寄りの世論調査会社である。選挙の数か月前、『ダータナリシス』が基本的に統計上は、ララ州の州知事を2期(2008年―2017年)務めた元知事であるファルコンは野党指導者の中で人気の点でロペスと同点首位であると主張していた。

 

【グアイドは世論調査で触れられることすらなかった】

 

 ブラジルでは、元ブラジルの大統領ルラ・ダ・シルバ(彼は勝つチャンスが十分あった)が資格を奪われ、まったく疑わしい汚職容疑で収監されているにもかかわらず、ファシストであるファイル・ボルソナロの選挙が今マドゥーロの承認を拒否している政府によって承認されたことを思い出しておくことは大事だ。さらにカプリレスやロペスと違って、ダ・シルバは米国が支援した政府打倒の陰謀に全く関与していなかった。

 

【ファルコンの問題は彼の側にあった】

 ファルコンが選挙中にメディア放送を利用することを拒まれたのか?ノーである。彼と経済アドバイザー、フランシスコ・ロドリゲスは全国を遊説し、ベネズエラのトップの民間TVネットワークに登場し、マドゥーロを非難していた。実際、ファルコンはベネズエラ国営TVで35分間の演説から選挙キャンペーンを開始した。その演説で、彼は国民を貧困な「奴隷」へと変えた「飢えた立候補者」だとマドゥーロを激しく非難していた。

 選挙の保証が得られたので国民に選挙に行くようにとファルコンが熱心に呼びかけていたにもかかわらず、ファルコンが敗れた後、新しい選挙を主張した。選挙は要求通り1カ月遅らされた。彼の主張は、政府が赤点(投票の出口用に使用された選挙センター近くに設置されたテント)で賄賂を渡していたというものだった。しかし、その主張にはいくつもの欠陥がある。

 まず、ベネズエラでは投票は秘密なので、これらの赤点で景品やその他の勧誘の機会を提供しても、精々、投票率を上げることはできるが、投票が政府の分にはならない。次に、選挙を監視していた4つの異なる監視団の組織がいて、彼らは選挙はクリーンだったと結論していた。この報告は、ここここここここにある。3番目に、マドゥーロに投票することは経済制裁を強化することになるというメッセージを送った、米国政府による経済的制裁と脅迫は、選挙民を動揺させる大規模な企てだった。(制裁は、違法でもあるが、すでに人民を殺していた)

 また、ベネズエラの選挙に対する米国の干渉は、メディアの熱狂的な注目を集めている2016年の大統領選挙でのトランプとロシアの共謀疑惑がまったくに冗談に見えてしまうほどだ。

(お詫び:選挙監視団の報告書にはうまくリンクできないかもしれません)

 

【ばかばかしい「憲法上の」論拠】

 それでは何故ファルコンはトランプによって「承認」されなかったか?トランプがグアイドを指名した根拠は何なのか?米国は、野党が勝利した2015年の国民議会選挙は承認する。とすればファルコンが勝利した2018年の大統領選挙はきっと承認しただろう。ベネズエラ憲法233条では、もし大統領がその地位を「放棄」したならば、国民議会の議長が新しい選挙を実施するまで引き継ぐと規定されている。グアイドはつい最近国民議会議長に指名されたばかりだ。

 明らかなように、殺人的な米国の干渉によって台無しにされたが、クリーンな選挙で着実にファルコンを破った大統領職をマドゥーロは「放棄」しなかった。トランプは(そしてイラク型のマドゥーロ追放「有志連合」は)ベネズエラの最高裁判所ではないことも明らかだ。(N)

原文URL:

https://venezuelanalysis.com/analysis/14305

コメント
日本語での貴重な情報提供に心より敬意を表します。
日本において多数を占めるであろう日本語でしか情報収集できない人々にとって、外国の資料を翻訳し紹介することは大変重要であると思います。
今後の更なるご活躍を心より願っています。
  • 小田原人
  • 2019/02/10 2:13 AM
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趣旨

今、ラテン・アメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

おことわり

このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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