ベネズエラ:暗殺未遂に関する一つの分析

  • 2018.08.10 Friday
  • 06:18

この記事はベネズエラアナリシスに掲載されたJorge Martinの見解で、マドゥーロ大統領を左から批判したものです。


ベネズエラのマドゥーロ大統領に対する失敗したテロ攻撃、一つの分析

Failed Terrorist Attack against Venezuelan President Maduro - An Analysis

2018年8月6日 venezuelanalysis(By Jorge Martin - Marxist.com)発

ジョージ・マーチンは、マドゥーロ大統領暗殺を狙った最近のテロ攻撃の幾つかの帰結に注目している。

President Maduro was unscathed from the attack (Hugoshi)

マドゥーロ大統領は攻撃からは無事だった(Hogoshi)

 

 8月4日午後5時41分頃、ボリバル国家警備隊創立81周年を記念する、カラカスのボリバル通りでのパレードで演説していたベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領の演壇の近くで強力な爆発音が聞こえた。マドゥーロ大統領に怪我はなかったが、7名の国家警備隊員が負傷した。

 テレビ放送された演説で、ベネズエラの大統領は自分の命を狙った攻撃の背後にいるとして退任するコロンビアの大統領ファン・マニュエル・サントスを非難した。ベネズエラの極右野党パトリシア・ポレス(マイアミを拠点としている)は、後に『ソルダドス・デ・フラネラス(Tシャツを着た兵士)』の声明を発表し、右翼テロリストグループは市民と軍人から構成されており、彼らに攻撃の責任があると主張した。

 いまだに事件の詳細が明らかになっていないが、C4爆発物を積んだ2機のドローンがあり、標的はパレードの大統領の演壇だったようである。ドローンはビデオで特定され、それは7ポンドの負荷が搬送可能な最高級のプロ用の6つの回転翼を持つDJM600と見られている。一つは上空で爆発し、多分、大統領の警護特務部隊によって打ち落とされたとみられるが、もう1機は進路を変え、近くのアパートの建物に衝突した。

 

 この2回目の爆発は、マドゥーロを攻撃したものではなく、建物内のガス・シリンダーの爆発だったという考えを国際的な報道通信社に信じさせることになった。国際的なブルジョアメディアがベネズエラ大統領を軍事的に打倒することを主張しているにもかかわらず、テロ攻撃がまさにその狙いを実行した時、彼らは実行されたことさえ否定しようとした。今でも、ほとんどの見出しは、攻撃が本当だったのかどうかと疑問を投げ掛けようとしている。「いわゆるマドゥーロ暗殺攻撃は」とCNNが言い、「明白なマドゥーロに対するドローン攻撃」とワシントン・ポストが書いている一方で、『エル・パイス』は中傷的な見方、「マドゥーロは野党への攻撃を強化するために『攻撃』を利用する」と報じた。

 

【反動主義野党によるテロリズム】

 米国政府の反応も同じ調子だった。彼らはこの攻撃に対する非難を出す行動を取ることさえなく、その代り、「米国政府は関与していない」と発言して自分を制限し、その後、この攻撃はベネズエラ政府自身によって計画された可能性があると暗示し始めている。

 世界の資本主義メディアにとって、問題は、テロ組織がマドゥーロに対する攻撃を実行したことを認めることは平和的で民主的な野党についての彼らのストーリー全体の基盤が崩れてしまうことである。これは、野党による暴力的反乱とテロ活動で構成された、2014年から2017年のグアリンバスを彼らが広めてきたことを特徴づけるものである。実際、今回の攻撃の犯人はグアリンバスの事件の参加者と繋がっている可能性が高い。ベネズエラ当局は、大統領の命を狙った攻撃と繋がりがある6人を逮捕したと発表した。責任があると見られているそのグループは、グアリンバスの時の極右テロと関連のある人々や、昨年カラカスでヘリコプタを乗っ取り攻撃を仕掛けた(死亡した)元警察官オスカー・ペレスとも繋がりがあると見られている。

Oscar Alberto Perez

責任があると見られているそのグループは、グアリンバスの参加者ともテロリスト、オスカー・ペレス(写真)とも繋がりがあると見られている。|写真:fair use

 

 数日後にさらに詳細が明らかにされよう。はっきりしている一つのことは、これまで20年前にボリバル革命が開始されて以来、民主的に選ばれた政府を打倒し、武力によって革命運動をつぶそうとする軍隊内部の反動勢力による攻撃が常に存在していたことである。反動的で寄生的なベネズエラのオリガーキーは、もはや政府を直接支配していないことを決して受け入れることはなかった。我々は2002年4月の短期クーデター(大衆の決然とした行動によって敗北した)だけでなく、同年12月のアルタミラ広場の軍事将校の表明、2004年のウーゴ・チャベスを殺害するためにコロンビア人の民兵組織を利用した攻撃、そしてその他あまり知られていない数十の陰謀をも語り続けなければならない。これらの陰謀すべて――たくさんあった――は、共通して一つのことを共有している。彼らは程度の差こそあれ、米帝国主義とコロンビアのオリガーキーの追従者の支持と支援を受けてきたことである。

 

【帝国主義の陰謀】

 この攻撃は、最近信頼できる報告が米国の大統領ドナルド・トランプが昨年公然と同国への軍事侵略を組織することを討議していることを明らかにした後に実行されている。これらの報告だけでなく、ブルームバーグは、軍事パレード中のマドゥーロ大統領暗殺に関連したものの一つが昨年失敗した軍事クーデターの陰謀だったと報道した。ブルームバーグはこれらのクーデターの陰謀は全面的な認識を持って討議され、コロンビアと米国の治安組織の暗黙の了解があったと報道した。

Donald Trump future Image Gage Skidmore

ブルームバーグによれば、米国大統領ドナルド・トランプは昨年軍事侵略計画を公然と議論していた。|写真:Flickr, Gage Skidmore

 

 この実行された暗殺攻撃の方法は、外国のシークレット・サービスが行ったというよりも、小さなテロリストグループの行動であることを示唆している。だけども、その危険性は過小評価すべきではない。これらのテロリストグループは、明らかに資金と爆発物の入手手段を持っており、オスカー・ペレスの事件で見られたように、軍と警察内部に繋がりを持っている。さらに、軍事クーデターであろうと国家首脳に対するテロ攻撃であろうと、そのような方法を支持することを隠そうともしない反動的なベネズエラ野党の部分が存在している。

 もちろん、これらのテロリストの細胞と軍人将校の悪巧みをするグループのほとんどは、米国の諜報サービスに知られており、彼らの多くはキューバ亡命者のマイアミマフィアと親しい繋がりを持っている。キューバ亡命者たちは共和党に非常に大きな影響力を行使している。現在のところ、ワシントンはおそらく経済制裁の組み合わせることによってその狙いを達成しようとしており、最終的には軍の一部がクーデターを組織することを期待している。しかしながら、これは誰かがマドゥーロを殺害するのを防止しようとすることを意味しないし、米国がこの最新の攻撃を事前に知っていたことはほぼ間違いない。

 

【ベネズエラから手を引け!】

 ベネズエラ革命はいくつもの困難に直面している。我々はマドゥーロ政府の政策に極度に批判的であったし、今でも批判的である。我々の見解では、それらの政策は破滅的であり、オリガーキーが権力に復帰する道を準備するものである。最近の数日においてでさえ、マドゥーロは資本家への一層の譲歩からなる多くの経済政策を発表した。しかし、一つの点について絶対に明瞭にしておこう。すなわち、軍事クーデターの勝利は、ボリバル革命の終焉を、経済危機のすべての負担を勤労人民に押し付ける残忍な緊縮政策パッケージと革命が勝ち得たものすべてものの破壊を意味することになる。これは、ベネズエラの労働者、農民と貧困者の組織を破壊することを狙って、民主的な諸権利を弾圧することによって実行され、あらゆる抵抗の可能性をつぶすだろう。世界中の革命的活動家はこれを支持することはできないはずだし、そうした理由から8月4日にマドゥーロに対して実行された攻撃を我々は非難する。

 

 

 一方で、マドゥーロの殺害未遂はベネズエラの現在の状況について興味深い沢山の点を明らかにしている。第一に、この攻撃に関連して逮捕された者の中には、2017年8月のバレンシアのパラマカイ兵舎の襲撃に関係した者がいる。この襲撃は軍と国家警備隊の個人の活動によって実行された。20年経ってもまだ沢山の反動的な軍事将校が存在しているという事実は、支配階級の管理が弱められ、部分的には奪われたとしても、国家装置は依然としてブルジョアジーの国家装置であることの明白な証拠である。これはウーゴ・チャベス大統領が最期の演説で明らかにしたことである。その時彼は「ブルジョア国家装置は粉砕されなければならない」と主張した。どうしたわけかベネズエラの軍は、全体として他のラテン・アメリカ諸国とは質的に異なっており、ボリバル革命に忠実であるという考えは間違っている。

 もちろん、ベネズエラ軍は革命の影響下にある。しかし、これはその構造、あるいは命令系統を基本的に変更するものではなかった。そのように、軍は質的な転換を実際にはしていなかった。ずっと下を見て行くと、一般兵士やNCOの中にはボリバル革命を支持する深い貯蔵庫を見つけることが出来る。上を見れば、国家官僚制度の中で彼らの地位から派生する恩恵、特権や汚職によって購入された「忠誠」を持つ沢山の上級将校がいる。

2番目には、当局の情報によれば、2014年の反乱で野党のテロ活動に参加して投獄されていた者たちも逮捕されており、野党をなだめるための取組で、5月20日の大統領選挙後にマドゥーロが取った措置の一つとして、彼らはつい最近釈放されたばかりだった。釈放された者は誰も後悔もしておらず、命を失う原因となった自分たちの行為を謝罪していなかったので、これらの措置はチャベス主義者の一般兵士の間での大騒ぎの原因となった。今、彼らはテロ活動を続けている。これは、2002年以来ベネズエラで繰り返されてきたパターンである。寛大さと「国民的和解」の訴えはいつも、反動的な野党によって新たなクーデターの陰謀と更なるテロによって返されている。何も学んでいない。

 

【ボリバル革命を防衛する】

 野党が陰謀を続ける理由は、彼らの奥底にある反動的性格とどれほど彼らがボリバル革命を怖がっているかに見いだされるべきである。労働者と貧困者は、自分たちが権力にあり、自分たちが支配可能であるという考えを持った。この考えは支配階級が安全で、再びサドルにしっかりと座っていると感じる前に撲滅されなければならない。政府が野党と和解できる唯一の方法は、このタスクを実行することである。そうした状況にならなければ、陰謀は続くだろう。

 さらに、経済的な崩壊が続き、深まる(今のところ弱まる兆候は見えない)とすれば、さらに抗議が拡大し、インフラの崩壊が起きるかもしれない。軍の将校たちが自分たちの特権がもはや現状では危ないと認識した時には、これはそれ自体で、軍の将校たちをクーデターの方向へと押しやる要素となる。「経済に対処するには力強いかじ取り」が必要だという見せ掛けの下で、「ボリバル支持者」と見られている人物によってさえ、クーデターは実行され得るのである。そして経済に対処する「テクノクラート政府」に権力を渡すことになる。

Comuna El Maizal Image public domain

軍事クーデターを回避するためには、チャベス主義者の一般大衆という左翼にしっかりと根を持つ革命的な代替物を建設することが必要である。|写真:public domain

 

 もちろん、このような状況にきっぱりとする方法、少なくともクーデターの陰謀者や反動を弱体化させる方法はある。革命は、労働者管理の下で民主的に計画された経済へと移行するために、資本家、銀行家と土地所有者の収奪によって完成されなければならない。それは古い資本主義国家(弱まってはいるが、まだ残っている)を廃棄し、労働者委員会、労働者と農民の自己防衛組織とボリバル市民軍を形成するなかで、労働者の権力と置き換えることによって達成されなければならない。これらは軍隊の主体に従属している補助的な戦力から革命軍の主体へと転換されなければならない。

 マドゥーロ政府は、その政策がこれらの対策の正反対であることを繰り返し示してきた。そうした理由で、チャベス主義者の一般大衆に左翼にしっかりと根を持ち、資本主義を廃絶する明白で、革命的な社会主義プログラムを基盤とした革命的な代替物を建設することが必要なのである。これはラテン・アメリカと全世界の労働者と貧困者に実例に続くように訴えながら達成されなければならない。

 この記事にある見解は著者自身のものであり、必ずしもベネズエラアナリシスの編集スタッフの見解を反映したものではない。(N)

原文URL:

https://venezuelanalysis.com/analysis/13978

 

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趣旨

今、ラテン・アメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

おことわり

このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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