ベネズエラ:経済戦争に立ち向かう大衆の闘い

  • 2018.06.20 Wednesday
  • 06:16

ベネズエラでの経済戦争による食料不足に対する大衆の闘いの実例の一つです。ベネズエラアナリシスに掲載された記事です。


「人民から人民へ」:ベネズエラの食料主権の建設

('Pueblo a Pueblo': Building Food Sovereignty in Venezuela)

2018年6月7日 venezuelanalysis(By Ricardo Vaz – Counterpunch)発

San Agustin shantytown in Caracas (Miguel Rodriguez / Cronica Uno)

カラカスのスラム街にあるサン・アグスティン(Miguel Rodriguez / Cronica Uno)

 

 サン・アグスティンは、カラカス中心部を出発して丘を登ってところにある近隣である。アフリカ系ベネズエラ人が多数住み、芸術的才能や文化的な豊かさで知られており、最近ではサン・アグスティンとカラカス中心部を結ぶケーブルカーでさらに有名になった。

 私がサン・アグスティンを訪れたのはもう一つの「伝統」、大衆組織が理由である。食料の入手という点で非常に深刻となっている経済戦争の真っ只中で、サン・アウグスティンのコミュニティは、『ウニドス・サン・アウグスティン・コンビベ』協働組合を通じて、「人民から人民へ」プログラムに参加している。それはマルタが以下に書いているように、この国の西部の農民によって作られた構想である。

 

 「このアイデアは、資本主義を置き換えようという論理で、組織と政治問題化のプロセスを作り出すことにある。そのプロセスは農民を中心とし、階級指向の論理を前提として、その中で生産に関連する共通の問題が提示され、そしてうまく集団的に解決策が見いだされている。」

 

 この中の問題の幾つかは、輸入種子に依存しているという問題に取り組まなければならないことである。それは政府が輸入品の削減を余儀なくされている時には何倍も困難となる。それゆえ、農民コミュニティは、農薬を少なくして土地への害を少なくする農業を実践するだけでなく、先祖伝来の種子を救い出すプロセスを発展させてきたのである。マルタが主張しているが、特に重要な事は、生産者が市場の価格変動に対して脆弱とならないように、収穫を計画化する事である。

 マルタが説明するように、生産レベルでの組織化以上に、仲介を排除するために物流と消費レベルでの組織化も必要となる。

 

 「我々がやって来た事は生産チェーンの最後の結合を組織化することである。それは消費であり、社会主義を実際に行使する枠組み作りである。このように我々は、民主的プロセス、横並びの集合体、食料の平等な配給、それぞれの食料の消費者イベント後の説明責任の公開プロセス、もし余剰が残った場合には協同組合内部で再投資することに重点を置いているのだということを見ることが出来る。」

 

 マルタはこの挑戦は、組織化された方法で消費するだけでなく、生産することでもあると指摘した。サン・アグスティンで食料を栽培することは不可能だが、その協同組合が卵を産む雌鶏を飼育しようと取り組んでいる。そして、小さな組織が、今、子供(少女)向けの下着用の衣類を生産している。それは、友好的な態度で透明なな原価構造を示して、「人民から人民へ」の農民と逆の方向へ交換されることになる。

 リベルタドール市の最も暴力的だった近隣地域の一つで、過去にはこのような取り組みを避けてきたいろいろなセクタの人々を、この取組が動員することに成功している事は注目に値することである。実際、ホルノス・デ・カルとエル・マンギト及びテレサス・デル・アルバの3か所で順繰りに2週間に一度消費者イベントが開かれている。この取組は1年半前に開始され、参加している家族の数は3つのそれぞれの地域で約150家族へと増加している。

 アナが詳しく説明しているように、食料価格がずっと高いままとなっている経済戦争の時には、これは重要な取り組みである。

 

 「食事を補完するために農薬をほとんど使わない自然生産物の野菜を多くの家族が入手出来ている。それだけでなく、それらは通りで買うよりもずっと安い。ベネズエラ人の食事に重要な加工食品が含まれているCLAPバッグ(2)と並んで、これは重要な貢献である。」

 

 それは、ベネズエラが科せられている金融制裁のせいで、いつも定期的に行われるとは限らないCLAP配給への依存を減らすことにも役立っている。プログラム自体に関連する危機とインフレの直接的な結果として、アナは価格が上昇していると指摘する。これは一部では生産コストが上昇しているせいでもあるが、参加している農民の生活費が上昇していることが原因と見ることもできる。

これは、野菜が外部よりもずっと安く売られているにもかかわらず、一度に大量の野菜を買うためにはそれなりのお金がかかることが消費者の側が購入することを困難にしている。

 それでもなお、「このプロセスを継続することには疑問はない。なぜなら、その組織的、政治的可能性に加えて、それは食料の入手という点で一つの具体的な解決策を提示しているからである。」とアナは断言している。

 

【協同組合の集会】

 消費者イベントを準備するための集会は、マルタが見事に議長を務めた。彼は一方では仲介して安心させ、他方では会議が4時間も続かないように議事を進めて、一見不可能に見えるようなバランスをとっていた。35人の参加者の内、男性は僅か4人だけだったが、マルタは誰も尻込みすることのないように、彼らを「お姉さん」とか「同志」(女性名詞形)とかと呼んでグループを指揮した。

 このアジェンダに関する第一の点は、協同組合の多くの作業グループからの報告である。産卵用の鶏を養うプロセスは前進しており、ニワトリ小屋は作られ、今はそれをどこに置くか場所を選択する問題となっている。布地労働者のグループは子供の下着の生産について、原材料の急騰に起因する困難性、そして、ある賞(3)を受賞するメンバーがスペインへ持っていく必要のあるまとまった商品を生産することを集会で決めたいと話した。

 続く作業グループは、全員の喜びとして、協同組合の法的な登録手続きがほぼ完了したと発表した。これで新しい可能性、例えば自治体に貯蔵施設を建設する土地を与えてくれるように要求するといった可能性も開けてくる。生産の問題に関しては、鶏の次に飼育するもの、すなわちウサギや羊についての議論がある。同じように喜ばしいことは、内務省からトラックを要求している手続きに進展があったニュースである。まだ動き出していない唯一の作業部会は、食品加工である。それはエル・マイサルから供給された7kgのトーモロコシの加工を最初の業務としている。グループの責任者は自分の責任と考えていたが、コーヒーを持ってきてくれたお陰で軽減された。

 それから消費者イベントでの別の仕事、すなわち,登記、荷卸し、運搬と会計の業務のボランティアを決める時間になった。住民ボランティアは、時には難しいと不平を言うこともあるが、参加者の一人ジャミレ・アンデルソンは、「ここでのあらゆる仕事は愛情をもってするものよ。」とすべての人に思い出させるように答えている。

 

【消費者イベント】

 ついに消費者イベントの日が来た。朝早く野菜を積んだトラックが到着し、それから荷卸し、均等になるように重さを計って分けた。今回は100である。ケーブルカーの駅の下にあるこの駐車場で、100の袋がきれいに並べられ、別の食料品もきれいに並べられた。今日分配される野菜は、ジャガイモ、玉ねぎ、にんじん、エシャロット、ヤム、キャッサバ、カボチャ、キャベツ、シラントロとニンニクである。

 次に起こりそうなことは、一瞬、列を作る人がアセンブリラインを誤解してしまうことだ。あるグループは青い袋の前に列を作っている。2番目のグループは、特に野菜な分配される方向へ最初の列から行列を作る。そして3番目のグループは最初のグループから小さな空の袋を集めて、2番目のグループに渡す。袋の列が一杯になると、最初のグループが前に進み、同様に続く。

 もちろん、これは全く予測していなかった動きである。みんなを陽気にさせるために鳴らしているサルサ音楽から野菜の配布が完了した時のいつもの拍手まで、すべての事が本当に愛情に包まれているというジャミレの言葉を思い出さずにはいられない。最終的な結果は、10kgの野菜の入った100枚の袋が、通常の市場より約70%安く売られた。受け取りが終わると、消費者として登録された人々が一人一人呼び出され、袋を集め、重さを計り、その代金を支払った。

 この間に、女性のグループは必須のサンコチョ(心のこもったスープ)を準備する。消費者イベントと他の人が持ってきた幾つかの材料とともに、シンボルとなっている大きな鍋が火に掛けられる。サンコチョはコミューン精神の構築と同義と言っていいものである。

 ウニドス・サン・アグスティン・コンビベ協同組合は、現在、(中古の)トラックを購入するためにクラウドファンディング・キャンペーンを行っている。マルタとアナが説明するには、主な動機は、カラジャカ(バルガス州)の、ほとんどが女性である生産者を結びつけることである。ここは非常に辺鄙な地域で、4輪駆動車でしか行き来出来ない。このことで生産者は仲買に対してより弱い立場となっている。これは切り離されたプロジェクトであるという意味ではなく、人民から人民への新しい軸である。

 この協同組合はまた、麻薬密売人や禁制品で逮捕された者が所有していたトラックを割り当ててくれるように内務省に要請している。この点に関しては積極的な展開があったけれども、問題の解決にはまだ遠い。例えそれがうまく行ったとしても、特にタイヤ、バッテリーやその他の自動車部品の高騰によって、整備し、運用するには、トラックは相当な出費を必要とする。だから、この目的のためには、資金集めキャンペーンは避けられない。

 左翼の人々と組織が、(おそらくもっと発展した)西側民主主義のプリズムを通してベネズエラを分析しようとする事は大きな間違いである。特に、彼らは直接的であれ、間接的であれ、今ベネズエラが直面している帝国主義的攻撃に力を貸すという結果になっているからである。他方で、資本主義を置き換えよう論理で人々を組織化するというこのような経験は、自分を左翼だと認めているすべての人から支持と関心を得るに値するはずである。それだけでなく、それらはボリバル革命に関して、何が本当に革命的なものであるかを理解するために不可欠である。最後に、マルタは誰よりもうまく要約した。

 

 「このプロセスにどんなに困難や矛盾があったとしても、自由でありたいと決心した人民がいて、目に見える闘いがある。」

 

注記:

(1)我々はスペイン語の「pueblo」(大衆、人民)という単語を意図的に使っている。何故なら、この言葉は「people(gente)」(人民)という意味としてだけでなく、コミュニティや組織された人民という意味を包含しているからである。

(2)CLAP(供給と生産地域委員会)は、ベネズエラの食事の主要な食物の幾つかを入れたバッグを補助価格で配達する政府の戦略である。それにはトーモロコシ粉、パスタ、米、黒豆、調理油その他が入っている。それらは地域のコミュニティ組織を通じてドアからドアへ配達される。

(3)『ウニドス・サン・アグスティン・コンビベ協同組合』と『コレクティボ・スルヘンテス』は、階段の吹き抜けに川に絵を塗る替える地元の子供たちと一緒にそのプロジェクトに対して隔年の建築教育の国際賞を受賞した。(N)

情報源:counterpunch

原文URL:

https://venezuelanalysis.com/analysis/13862

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趣旨

今、ラテン・アメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

おことわり

このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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