ニカラグア:社会保障改革を口実とした暴力抗議行動の正体は?

  • 2018.04.24 Tuesday
  • 05:05

4月22日、オルテガ大統領は社会保障改革案を撤回し、対話を呼びかけている。


ニカラグア:体制転覆の次の番?

(Nicaragua: Next in Line for Regime Change?)

2018年4月21日 teleSUR(By: Tortilla Con Sal)発

Since April 18, when the government proposed social security reforms, violent protests have taken place across Nicaragua.

政府が社会保障改革を提案した4月18日から、ニカラグア中で暴力的な抗議行動が行われていた。|写真:Reuters

 

このパターンはリビアとシリア、ベネズエラで起きた出来事と同じである。そこでは少数の極右政治家が国家の現状を打倒するために外国のエリートと共謀している。

 先週ニカラグアで起きた出来事は、リビア、コートジボアールとウクライナで成功し、タイ、シリアとベネズエラで失敗した米国主導で、NATOが推進した体制打倒の一種を手本にしたものであることは明らかである。全国レベルで、この抗議は、低収入の労働者と年金で生活している人々を守る社会主義政策に反対して、利益率を守ろうとした民間部門の産業界の階級が主導したものだった。

 

【これまでの出来事】

 4月18日以来、ニカラグア中で暴力的抗議行動があった。この抗議は政府が年間約7500万US$の赤字となっている社会保障制度に対する改革案を発表した数日後に始まった。ニカラグアの民間部門の業界組織Cosepとの対話中断の後、政府は改革案を発表した。修正の可能性を残したまま、この改正は7月1日に実施される予定となっている。

 抗議行動では、金曜日時点で、10人が死亡し、少なくとも30人の警察を含めて80人が怪我をした。最も多くの死者は、右翼の工作員が使った殺傷力のある銃器によるものであった。西側の主要メディアは、全く平和的なものでなく、ちょうどベネズエラで行われたのと同様に、この抗議が極右の暴力組織がニカラグアを混乱させようとした暴力に特徴づけられるという事実を伏せて報道している。それに対応して、ニカラグアのサンディニスタ政府を支持する労働者や学生が、暴力的な右翼工作員に反対して結集した。

 抗議行動は、4月18日早朝にニカラグアの首都マナグアで始まり、すぐに、西部のレオン、南部のグラナダ、北部のエステリといった重要な地域の中心都市へと広がった。抗議はソーシャル・メディアの扇動的なメッセージと右翼メディアの計画的な操作によって煽られた。いくつかの右翼のケーブルTVは、明確で、独自の信頼できるいかなる説明も無く放送を中断した。彼らのサインは明らかに計画的な停止だった。

 野党の暴力的抗議行動による死者やけが人を別にしても、地元の社会保障機関、エステリやグラナダの地方自治体の事務所、マナグアとレオンの大学建物、チナデガとマサヤのサンディニスタ事務所とマナグアの政府事務所などのインフラへと被害が広がった。

 野党のギャングが侵入し破壊しようとした建物には、新築の「デニス・マルチネス」野球場、新築のフェルナンド・ベレス国立病院と社会保障研究所本部もある。ギャングたちは、『ヌエボ・ラジオ・ジャ』と『ラジオ・サンディニスタ』などの最もサンディニスタ寄りのラジオ放送局を攻撃し、放火しようとした。

 100人以上の抗議の学生がマナグアの主要な大学エリアから撤退し、市内のカソリック大聖堂へと逃げ込んだ。警察が彼らをそこで包囲し、平和的に立ち去るまで交渉した。ニカラグアのカリブ海の海岸に向かう、ずっと離れたところにあるヌエバ・ギネアでは、野党ギャングたちは政府支援の文化イベントを攻撃し、何人かの政府支持者を負傷させた。多くの場所で、違法行動をとる日和見主義者のギャングが政治的抗議と混ざり合った。抗議は、抗議に関係のない傍観者だけでなく、商業施設や自動車をも攻撃した。

 民間の企業組織Cosepは平和的な抗議を呼びかけていたが、右翼『自由を求める市民』と政治組織『サンディニスタ再生運動』の過激派が暴力抗議を主導した。彼らはソーシャル・ネットワークを効果的に使い、社会保障改革をあまり知らないか、全く知らない人々、特に若い人々を混乱させ、誤解させようとして嘘情報と扇動的な非難を広げた。それは、選挙で圧倒的な支持を受けた政府を不安定化させることを狙う暴力的な抗議の単なる口実にされた。

 福音派の宗教組織とカソリック教会組織の両者は冷静になることを求め、対話を呼びかけた。

Cosepは、人々が平和的に抗議すること、社会保障改革について政府との交渉再開を主張した。

軍と警察は完全に政府を支持しており、警察は破壊的な挑発には逮捕で対応した。労働組合と主要な学生組織は暴力を非難し、政府の社会保障改革案支持を表明した。年金の権利と老人向けの医療補助のために活動している高齢者組合もまた提案を支持している。提案は、現役労働者と同じ医療を受ける全面的な権利と交換に老齢年金から5%が控除されることが含まれているものである。

 

【状況:ニカラグアの社会保障制度】

 ニカラグアの右翼政党が1990年の全国選挙で勝利した後、その後の3つの右翼政府は社会保障研究所(INSS)を誤って運用し、給付の対象を削減し、減額した。同期間にINSS基金の数百万ドルが民間部門の企業に融資され、不正な個人支払に流用された。2007年にダニエル・オルテガ大統領の下で新しくサンディニスタ政府が政権に就いた時には、社会保障の基金は持続不能なほど赤字であり、積立金ベースは大幅に減っていた。

 その時以来、INSSは社会保障がカバーする人数を拡大し、制度が支給する給付範囲も拡大した。今ではこれらには、血液透析、がん治療、脊髄麻酔手術、眼科、神経外科、臀部と膝の交換、腎臓移植やその他の高額な特殊治療も含まれるようになっている。

 この制度に拠出する人数が大幅に増加したにもかかわらず、INSSはまだ7500万ドルの赤字を出し続けている。政府と民間企業部門との対立は、その赤字をどのように資金手当てするかをめぐるものである。民間企業部門は、下記に示すような新自由主義的計画を適用してコストを減らしたいと考えている。

 

 *退職年齢を60歳から65歳へ引き上げ

 *年金の全額受給するために必要な750週の積立を達成できなかった退職者に支払われる減額年金の廃止。

 *産業労働者のための最低賃金以下の年金しかない人に保障する最低年金の撤廃。

 *1か月の年金に相当する毎年のクリスマスボーナスの廃止。

 *中央銀行が適用する毎年の5%の平価引き下げにスライドして補填している、国民通貨に対する年金価値の維持をしないこと

 *年金支給に必要とされる積立週を750週から1500週へ2倍とすること

 *INSS医療クリニックを民営とすること

 

 政府は社会保障医療制度を保護し、下記のような施策によって集団的な公共の利益として社会保障の範囲と手当を拡大したいと考えている。

 

 *段階的に雇用主の積立金を3.5%増額すること

 *労働者の積立金を0.75%増額すること

 *公的部門労働者に対する政府の積立金を1.25%増額すること

 *高額の給料を稼ぐ人々が収入に見合った社会保障の拠出金を支払うように給与上限を廃止すること

 *退職者の年金を5%減額し、それによって、現役労働者と同じ医療サービスを受けられるようにする(現在はそうなっていない)こと

 *年金の全額支給に必要な積立すべき週数を750週のまま維持する

 *減額年金と最低年金は維持する

 *クリスマスボーナスは維持する

 *毎年の5%切り下げに対する年金価値を維持する

 *すべてのINSSクリニックは公的制度の中に維持される

 

【最新の展開】

 ダニエル・オルテガ大統領は、ニカラグアの民間部門の企業の代表組織であるCosepやINSSをどうやって持続させるかについての対話に参加するその他の組織との討議を継続するつもりである。報告されたような死者やけが人を伴った騒乱がニカラグアの色々な場所で続いている。教会の代表、企業家のリーダーや政治家は暴力を止めるように呼びかけている。暴力を引き起こした右翼政治組織にとって、INSS改革はこの時点の都合の良い口実に過ぎないが、彼らが長期間の不安定化を引き起こそうと狙っていることは明らかである。

 これまでのところ、このパターンはリビアとコートジボアール、シリア、ウクライナ、タイおよびベネズエラでの出来事と同じである。これらの国では、極右の政治的な少数者が外国エリート(主に米国とヨーロッパ)と国内状況を転覆させ、権力を掴むために共謀した。ニカラグアでは、小さな少数派の右翼野党が、ニカラグアのサンディニスタ政府を弱体化させ、不安定化させるために、公然と財政的政治的支援を米国とヨーロッパに求めてきた。彼らが実施しているこの露骨なモデルはベネズエラ由来である。この国の人民とこの地域にとって意味のあるすべてのことに、米国のもう一つの介入がニカラグアを苦しめることになるのかどうかは、次の2週間くらいで明らかになるだろう。(N)

原文URL:

https://www.telesurtv.net/english/opinion/Nicaragua-Next-in-Line-for-Regime-Change-20180421-0014.html

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趣旨

今、ラテン・アメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

おことわり

このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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