ベネズエラ:ILOがベネズエラの最賃の引き上げにクレーム?

  • 2018.04.04 Wednesday
  • 05:52

国際労働機関(ILO)が、ベネズエラ政府がインフレに対処するために度々最低賃金を引き上げたことに対して、ILO協定に違反すると調査委員会を開設するという耳を疑うような記事です。ILOまでもが制裁に加担するのか。


最低賃金を引き上げる事はベネズエラの権利か?

(Is Venezuela Right to Raise the Minimum Wage?)

2018年3月28日 teleSUR(By: Nino Pagliccia)発

Surely the real crime being committed is the imposing of economic sanctions against Venezuela by the United States, writes Nino Pagliccia.

間違いなく、犯されている本当の犯罪は、米国がベネズエラに制裁を課していることである、とニノ・パグリシアが書いている。|写真:Reuters

 

間違いなく犯されている本当の犯罪は、米国のような国々がベネズエラに対して経済制裁を課していることであると、ニノ・パグリシアが書いている。

 米国によって作られた影響に対する脅威であるとはいえ、軍事的侵略に至らないまでもあらゆる形でベネズエラが仲間外れにされていることは今に始まったことではない。米州機構のようなその他の政府や機関はベネズエラへの攻撃に競って加わっている。

 新しいことは、スイスのジュネーブに本部を置く国際労働機関(ILO)から最新の脅しが来たことだ。その機関は3月21日に、「ILO理事会はベネズエラに対する調査委員会を指名することを決定した。」と報告した。

 ILOに対する微妙なメッセージであるように見えるのだが、偶然にも、これまで伝統的に中立であったスイス政府が、3月28日にベネズエラの機関や高官に対する制裁に加わった。「制裁リストには元国民議会議長ディオサド・カベージョや内務大臣ネストル・レベロル、裁判長マイケル・モレノが含まれている。スイスの制裁にはベネズエラに対する武器や商品の販売と輸出も含まれている。」

 ILOの調査は「ILO協定第26条(1928年の最低賃金固定手続き協定)と第87条(1948年の結社の自由と組織する権利の保護協定)ならびに第144条(1976年の第3者協議(国際労働基準))の不遵守に言及している」

 

【協議不足】

 しかし、ここはカール・マルクスを墓から生き返らせて、墓石に書かれている「万国の労働者、団結せよ!」と再び叫ぶところだ。その告発は「労働者と使用者の経済的利益に影響を与える法律に関して『フェデカマラス』との協議が無く、しかも使用者及び労働者代表と協議しないで最低賃金を幾度となく引き上げたと主張している。」

 それはさらに「〔ILO〕理事会はこの告発を2015年以来6回討議し、ベネズエラ・ボリバル共和国に、『フェデカマラス』とその加盟団体及びリーダーに向けられたいわゆる干渉と攻撃及び非難を止める措置を執るように何度も要請した。」と述べている。

 『フェデカマラス』は、ベネズエラのビジネスと企業の利益を代表しているベネズエラ商業および生産協議会連合である。私的部門がまだ強固な存在である国では、合理的な役を果たしているが、別の面では「社会主義」、「共産主義」、「専制主義」、「独裁」と分類されている政府によって完全に認められている。

 しかし、2002年4月にウーゴ・チャベス政府に対する失敗したクーデターの間の47時間は『フェデカマラス』の議長ペドロ・カルモナが事実上のベネズエラの大統領になった時には、『フェデカマラス』は「その加盟組織」のための取引や商業以上の野心的な利益を持っていた。

 

【虐殺に関しての沈黙】

 1919年に設立されて以来、ILOは12の調査委員会を開設している。そのうちラテン・アメリカに関連するものは3つであり、ピノチェト体制の抑圧下の初期の日々のチリ(1975年)、ハイチからの労働者の雇用に関係したドミニカ共和国(1983年)、それとニカラグア(1987年)である。面白いことに、ニカラグアに関する調査は今回のベネズエラと全く同じ問題に言及している。1987年はサンディニスタ解放戦線のダニエル・オルテガが大統領であったことを思い出して欲しい。

 ニカラグアで調査された具体的な違反には、「殺人、身体的攻撃と拷問」が含まれていたが、1986年以来コロンビアで2,800人以上の労働者の指導者や組合メンバーが虐殺されたことには、ILOは沈黙したままである。労働組合指導者に対する危険は今日まで続いている。「組合への攻撃やその他の圧力の結果、コロンビアの労働組合の組織率は、20年前の15%から今日では4%まで下落している。」

 ベネズエラの場合に目を引くのは、「『フェデカマラス』とその加盟組織やリーダーに対して「攻撃と非難が向けられている」と主張しているその同じ企業が、経済的制裁を陳情し、商品を隠匿し、もう一つの操作された為替レートによってインフレを誘導しており、これらすべてはベネズエラの労働者階級の購買力を弱めているのだが、そのような行動すべてに責任があると思われている企業なのである。

 ベネズエラにおける作られた経済的危機を間違って「人道危機」と呼んでいる批判があることを思い起こそう。もし、それがこのケースであるとすれば、最も弱い人々を保護するために最低賃金を引き上げるというベネズエラ政府の緊急の介入が、何故不適切だと見られるのか?全く正反対の事なのだが、経済危機を引き起こしている首謀者たちは相談されていないと主張し、労働違反の被害者であると主張しているのである。

 

【目に余る矛盾】

 カナダ政府は、ばかばかしいことに、「マドゥーロ体制は人民から基本的で民主的な人権を奪い、人間としての最低限の必需品を満たそうという援助を拒否している」と声明した新しいニュースを発表した。もっと目に余ることには、「マドゥーロ体制が最低賃金の設定に関する国際労働協定を遵守しなかったという主張を確認する」ILOの調査を支持しているのである。

 これは、労働者と使用者の経済的利益に影響を与えるという理由で、政府の最低賃金の引き上げが違反と見なされたレアケースであるかもしれない。しかし、本当の犯罪はベネズエラに対する制裁を適用することによって実行されていることである。国際的な民主主義と公正な秩序を促進する国連の独立専門家アルフレッド・サヤスが次のように述べている。「米国がベネズエラに制裁を課していることによって犯している人権に対する犯罪への捜査を、ベネズエラが国際刑事裁判所に求めるべき時だ。」(N)

原文URL:

https://www.telesurtv.net/english/opinion/Is-Venezuela-Right-to-Raise-the-Minimum-Wage-20180331-0013.html

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    趣旨

    今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

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    このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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