メキシコ:水を守るために大企業+行政との闘い

  • 2018.02.15 Thursday
  • 06:04

メキシコで、飲料用水を大企業のビール工場に提供する違法な密約を行政トップが約束し、その工場建設をめぐって住民の闘いが行われている。その闘いを国際的に広げるっために、製品ボイコットを呼びかけている。


「モデロ・ビールをボイコット!」メヒカリ・レシステ、水の権利を求めて闘う

('Boycott Modelo Beer!' Mexicali Resiste Fights for Water Rights)

2018年2月13日 teleSUR(By Raul Perez)発

 既に干ばつで苦しんでいるメキシコのある地域で、ある国際的企業が、毎年2000万リットルの飲み水を使用するビール工場を建設中である。その量は、通常約75万人の渇きを癒す量に相当する。

Mexicali Resiste

 メヒカリは、バハ・カリフォルニア州の北部にある国境の州都である。その低地は農業地域でもあるが、水不足によって、その穀物と都市の水供給が危機に瀕している。そんな状況の中で、輸出用のビールを醸造する工場に公共の水を流し込もうというプロジェクトに対して住民が立ち上がっていることは驚くに当たらない。

 2月13日は、「ブラックマンデー」の最初の記念日となった。昨年のこの時、このプロジェクトに反対する活動家と組織が警察と衝突した。市民社会の大きな支持を勝ち取る前ではなかったが、14人の市民が逮捕された。

 闘い、弾圧、逮捕と法廷闘争の1年後、運動は今、『グルポ・モデロ』と『コンステージャション・プロジェクト』の、特にこの工場のターゲット市場である米国で、国際的なボイコットを呼びかけている。

 市民の抵抗運動の高まりの中で、公共の水供給を守るために幾つかの法的措置がとられた。今や、「メキシカリ・レジステ」に旗の下に組織されて、目に見えて拡大した抵抗運動は、この地域の人権の監視役となっている。

 「もし、自由貿易を理由として、会社がどこにでも操業が可能であるならば、我々もまた国際的な活動家になり、米国での『グルポ・モデロ』のボイコットを拡大する。」メヒカリ・レシステ運動のスポークスマン、ヘスス・ガラスがテレスールに語った。

2017年3月、ブール工場に対する地域全体の抗議。|写真:Facebook Mexicali Resiste

 

【ビール会社】

『グルポ・モレロ』は、『クアテモック・モクテスマ』と並んで、メキシコで最も人気のある2大ビールメーカーの一つである。モデロのビールの一つ、コロナ・エキストラは、海外で最も人気のあるメキシコ産ビールである。しかし、米国への輸出用ビールの生産と物流を担当しているこの会社は、実際にはコンステジャーション・ブランドであり、間もなくメヒカリで操業を開始しようとしている、そのコンステージャションである。

 コンステジャーション・ブランドは、ビール、ワインと蒸留酒を生産、販売している、フォーチュン500社のうちの1社である。2015年に、この工場は、「生活用水」として分類されている公共の水の私的独占使用が、フランシスコ・「キコ」・ベガ州知事を含むバハ・カリフォルニアの役人との間での、反対派が「幾つかの文書化されていない怪しい合意」を通して約束された。

 それに関与したすべての者に、公にすることを禁止した秘密文書の中で飲み水の直接ラインがその会社に約束された。その水は、違法な方法で、連邦資産の井戸から得られることになる。工場に提供した州の土地もまた、違法ライセンスだった。

 その土地は、セルヒオ・モンテス・モントジャによって、コンステジャーション・ブランドの工場の建設を担当する建設会社エルモシージョ・アシシアドスに手渡された。彼は、メヒカリの都市管理責任者であり、エルモシージョ・アソシアドスのオーナーがメヒカリを訪れた時には、環境保護と都市管理補佐だった。

 さらに悪いことに、送水管の建設を許可された工事会社は、バハ・カリフォルニア州知事フランシスコ・「キコ」・ベガと親しい関係だった。いかなる法制度においても、不正取引の影響は言うまでもなく、これは利害対立となる。

 メヒカルとメヒカル谷の人々は、ずっと苦しめられており、彼らから水を奪いたがっている地元と国際的な勢力から水を懸命に守ってきた。

 

【組織された抵抗】

 2016年12月、州政府は水を民営化し、価格を引き上げ、消費者が料金を90日以内に支払わなかった時には水の供給をカットすることを水管理会社に許すだけでなく、課税も免除する法律を成立させた。この行動は広範な抗議を引き起こし、数日後、1万人以上の人々が抗議のために州政府の建物にデモで押しかけた。同時に、100人以上の人々が州議会の入り口を封鎖し、議員と管理役人が建物から出られなくした。

2月の抗議で「水をビールとは交換しない」と書かれた横断幕を掲げる抗議者。|写真:Facebook Mexicali Resiste

 

 この新しい水道法は最終的に廃止され、抗議の日はメヒカル・レシステ市民グループの誕生となった。彼らは、基本的人権として水の利用のために闘っている唯一の組織ではないけれども、彼らは運動の表向きの顔となった。

 その時以来、建設現場といろいろな政府建物は封鎖されている。シットインが組織され、議場には門が付けられた。水をビール工場へ送る送水路は一時的に中断されたが、このプロジェクトは再開した。

メヒカル・レシステは今、地元と通信委員会の両方に組織された運動を代表している。メヒカルの谷の資金支援農家の約半数はこの理念を支持し、要求次第で数千人の抗議行動を招集することが出来る。

 

【新年、同じ闘い】

 2018年、ビール工場の建設が再び谷の水供給を脅かすにつれて、抗議の新しい波が巻き起こった。1月16日、これまで警察との最大の対立となっているエル・チョロポ大牧場の建設現場に重機が入ることを活動家たちが阻止した。

 6人が逮捕され、今、運動は法的訴訟に直面している。リーダーの一人、レオン・フィエッロは、殺人未遂で起訴された。警察は、彼が衝突の際に警察に彼の車で突っ込もうとしたと主張しているが、フィエッロは、エアボーン・スティックと岩の道から車を退けようとしていただけだと主張している。

 技術者で写真ジャーナリストである、ホセ・ポソは、警察官にけがをさせたことで起訴されたが、証人は、彼は、その道を封鎖している抗議者を轢こうとしていた掘削機に石を投げたと話している。「何人かのジャーナリストは、近隣住民の闘いとしてその瞬間を描いている。」とガラスは話している。

 無償弁護の支援弁護士がその裁判を引き受け、運動との連帯を示している。

メヒカリ警察との1月16日の衝突で怪我をした抗議者の一人。|写真:Facebook Mexicali Resiste

 

 ガラスは、行政が活動家を犯罪者にして、抵抗運動に傷をつけようとしている、と述べた。「州権力には自主性が欠如している。それは次の選挙まで嫌がらせが続きそうだ。」

 1月16日の衝突からの数週間は、非常に慌ただしかった。運動は、9月に州議会で窓ガラスを割ったことで1,300US$の罰金が科せられたが、クラウド・ファウンディング運動は、3日間でほぼ30,000$を集めた。

 今、メヒカル・レシステは、新しい戦線を開いている。運動は、オンラインの案内討論ショーを記録し、この地域で最も評判の高い大学の一つである『コレヒオ・デ・ラ・フロンテラ・ノルテ』の研究者と共同してコロラド川の水に関する学術的なドキュメントを制作中である。

 また、分析と組織化のためのスペースを提供する月刊新聞を開発中である。「政府は、我々がバラバラになっていると思っているが、我々は提案した討論と民主主義による返事を欲しがっている。」とガラスが話した。

 メヒカリ・レシステにとって、路上と裁判所で行われている闘いと同じくらいに、コミュニケーションの闘いは、重要になっている。運動はその声を国際的な聴衆に届けたいと考えている。

 

【国際行動と連帯】

 カリフォルニアにメヒカリの姉妹都市カレシコがある。それらは国境によって分断されているが、共通の文化を持ち、多くの家族が両側にいる。メヒカリ・レシステは、水のために闘いは国際的であり、それゆえ連帯もまた国際的でなければならないと考えている。

 『コンステジャーション・ブランド』は、米国への輸出用ビールのために工場を使用することを計画しており、メヒカリ・レシステは、『コロナ・エキストラ』、『コロナ・ライト』、『モデロ・絵スペシャル』、『ネグラ・モデロ』、『パシフィコ』、『バジャスト・ポイント』や『ファンキー・ブッダ』といった『グルポ・モデロ』やコンステッジャーション・ブランド製品の消費ボイコットを近隣住民に呼びかけている。

メヒカリ・レシステは、水を守るために、コンステジャーション・ブランドとグルポ・モデロのボイコットを呼びかけている。|写真:Facebook Mexicali Resiste

 

 闘争が始まってから1年以上経っても、コンステジャーション・ブランドは、対話に着くことを拒否している。「会社が合法的な文書を持っているのなら、我々に見せてくれと提案しているのだが、会社はそうしない。それが彼らの意図が信頼できない理由だ。」とガラスが述べた。

 工場は今、建設中であり、1月16日の抗議以来、厳重な警備を敷いている。写真を撮り、開発状況をまとめようと工事現場に近づくとすぐに警察が介入する恐れがある。

 運動を擁護している弁護士は、小さな犠牲では済まなくなるので、エスカレーションしないように平和的で冷静さを求めている。

 2月13日、平和的なデモが地元政府本部前で行われ、26,000人の請願署名が役所に提出された。(N)

原文URL:

https://www.telesurtv.net/english/analysis/Mexicali-Resiste-boycotts-Constellation-Brands-Grupo-Modelo-20180213-0009.html

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    趣旨

    今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

    おことわり

    このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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