カール・マルクスの映画「マルクス・エンゲルス」が只今上映中
- 2018.05.19 Saturday
- 04:20
ステファン・コナルスケ演じるエンゲルスとアウグスト・ディールのマルクス。|写真:「若き日のマルクス」PR写真
この映画は、マルクス主義の理論的発展に導いた労働者階級の運動の分析をめぐって、マルクスとエンゲルスがどのように強い結び付きを作ったのかを物語るものである。
ハイチ人の監督、ラウル・ペックの最新映画、「若き日のカール・マルクス」は、2017年6月に劇場に到着する予定で、共産主義運動の誕生、マルクスとエンゲルスの共同研究とヨーロッパでの1848年のヨーロッパでの革命にいたる数年間にハイライトを当てている。
ペックは、他の重要な2つの映画の監督である。2000年にアフリカ人の革命家パトリス・ルムンバの生涯を追った「ルムンバ」、そして、公開されたばかりのドキュメンタリー、合衆国の小説家で社会的批評家のジェイムス・ボルドウィンの人生を描いた「私はお前のネグロではない(I Am Not Your Negro)」である。これは今年のアカデミー賞候補である。
ペックは、ボルドウィンとマルクスを同時に撮影した日々を次のように語った。「私は、18歳の頃、マルクスを学んだ。ボルドウィンは、もう少し若い時に知ったが、この二人は、私にとって重要な記念碑となり、今の私のような個人を造り上げた。彼らは、自分が何者であるか、思考方法や社会の分析方法の骨組みを作る。」
ペックによれば、マルクスの映画は、10年かかった。というのは、マルクス、エンゲルスとマルクスの妻ジェニー・フォン・ウェストファーレンの間の往復書簡から脚本を作りたかったからである。この映画は、パスカル・ボニッツアとの共作である。「往復書簡を通して彼らの性格をうまく見出せたので、やりたかったアプローチとなった。構成に時間がかかったが、近道は取れない。」と付け加えた。
オープニングのシーンは、1844年のドイツで、人々が、暖を取るために森で薪を集めていると残忍にも逮捕される。その時、革命的な記事のために、「ライン新聞」のスタッフと共に、マルクスも逮捕される。新聞は閉鎖された。その時、マルクスは、妻と子供を連れて、最終的にはロンドンに移住することになる。そこで、彼は、工場所有者の息子であるエンゲルスと出会う(2回目)。彼は、支配階級の出身であるが、労働者階級の闘争に参加していた。
二人の男は、児童労働、労働条件や資本家階級に対する労働者の組織化の必要性など、貧困者や労働者階級が苦しめられている悲惨な状況について同じ結論に達していた。
この映画は、マルクスとエンゲルスが、どのようにして、労働者階級の運動の分析、1847年の正義同盟(空想的社会主義者が支配していた)を共産主義者同盟への変革につながったマルクス主義の政治的、経済的理論の発展に関して強い絆を作っていったのかを物語っている。
アウグスト・ディール、「Inglourious Basterds」や「The Counterfeiters」で国際的に知られているドイツ人の俳優が、カール・マルクスを演じ、ステファン・コナルシュケ、もう一人のドイツ人俳優がエンゲルスを演じ、ルクセンブルク出身のビッキー・クリープスがジェニーを演じる。
2017年6月15日が、国際的な公開予定日となっている。(N)
原文URL:
映画「マルクス・エンゲルス」を先日観てきました! (岩波ホール) 写真でよくみるお二人はお髭を生やしたいかにも学者風のおじさんですが、映画により生身の人間臭さも感じられ、今や20世紀を変えた「理論」と言われる彼らの打ち出した「共産主義者同盟」の内容が、イギリスの貧民層や底辺の労働者、労働階級を厳しい目で分析した、貧民に寄り添ったものと知り感動しました。
当時、労働者を引っ張る思想が、観念的宗教的で、実際の労働者や貧民の苦しみからは離れていたことに苛立ちながら、2人が「批判のための批判を批判する」と、大きな組織に挑むところはスカッとしました☆ いつの時代も、真を突いた言葉は人々に支持されるのだなぁ、と! 是非、映画の論評が載っているパンフも併せて読んでもらえればより理解が深まります!