コロンビア:武装反乱軍ELNが和平交渉へ

  • 2017.02.09 Thursday
  • 05:56

FARCに続いて、コロンビアの2番目に大きな反乱軍ELNが政府との和平交渉を開始するという記事です。コロンビアは、ベネズエラとエクアドルに接していて、この地域の安定に貢献することを期待したい。


キューバ革命に触発された、コロンビアのゲリラ・グループが平和に向かうFARCに続く

(Colombia's Cuban-Inspired Guerrilla Group Follows FARC's Path Toward Peace)

2017年2月7日 teleSUR発

The members of the ELN will transition into a political entity in Colombia if a deal is reached with the government.

政府との協定に成立すれば、コロンビアの政治的な存在へと移行するELNのメンバーたち。|写真:Reuters entity

 

コロンビアで2番目に大きい反乱軍組織が、エクアドルが用意した対話で、政府との公式な和平交渉を開始した。

コロンビアの最大の反乱軍FARCとの画期的な協定の後、和平へ大きな前進を続けるようと、コロンビア政府は、火曜日、2番目に大きなゲリラ勢力ELNとの和平交渉を前進させる日程を組んだ。

 この対話の開始は、エクアドルのキトーで行われる予定で、政府代表団とELNの和平代表団が、6項目の議題で交渉のテーブルに着く。交渉は、当初、10月27日に開始する予定だったが、ファン・マニュアエル・サントス大統領が、直前に、まさに交渉の始まる数時間前になって中止した。サントスは、重要な人質、元議員である、オーディン・サンチェスを最初に解放することをELNが履行していないことに問題があるとした。ELNは、一度対話が開始され、また、その見返りとして、政府に2人のELNの囚人の特赦を要請した時に、サンチェスを解放するつもりでいたと主張していたので、予備協定の解釈が違っていることが明らかになった。

 ELNは、先週、サンチェスを解放し、対話を進める政府の中心的な前提条件が満たされた。同時に、刑務所に囚われていた、特赦された2人をELNに引き渡した。

 

 民族解放軍ELNは、政府との和平交渉を開始する意志を固めたが、この反乱軍は、コロンビア革命軍FARCが取ったプロセスとは違うやり方を見つけたいと主張していた。政府とFARCは、キューバのハバナでの約4年間の対話の後、8月の終わりに最終協定を発表した。そして、その後、10月2日の国民投票で過半数にわずかに足りない僅差で否決され、その協定を修正した。11月30日に、議会が更新された協定を承認し、実施段階へ踏み出すことになった。

 1964年に設立され、キューバ革命とその象徴的指導者エルネスト・「チェ」・ゲバラによって触発されたELNは、小さく、同じ年に別の地域で確立されたFARCほど知られていない。ELNは、1990年代に4,000人から5,000人いた絶頂期から徐々に減少して、現在では、2,000人から3,000人の活動家を抱えている。他方、FARCは、そのピークには20,000人の勢力に達しており、現在は推定7,000人の勢力と見られている。

 これらのグループの戦略としての武装闘争が発生していた1960年代初頭には、コロンビアは、「ラ・ビオレンシア」として知られた保守派とリベラル派との間の残忍な10年に渡る衝突の余波の中で暮らしてきた。この内戦は、コロンビアの田舎で多数の人を殺し、エリートの利益を脅かすものとして自己管理された共産主義コミュニティを弾圧する道を与えた。FARCが、トリマ県の武装農民の組織として、これらの農村から直接生まれたのに対して、ELNは、サンタンデール県という北部地方の左翼の知識人、学生とカソリックの急進派によって形成された。

 ELNの設立者の中には、1960年代初期に、革命戦略をキューバに学びにいった5人のコロンビア人がいた。1962年に、彼らはコロンビアの植民地時代の反徒、ホセ・アントニオ・ガランにちなんで解放軍部隊を設立した。後で彼らに、解放理論を支持する数人の神父が加わった。それから、キューバで設立された部隊は、ELNのイデオロギーと革命方法に影響を与えた。

 違った出発点であるにも関わらず、FARCとELNの政治綱領は、発端から相当部分重なり合っていた。いくつかのイデオロギー的な違いはあるけれども、農村の貧困者と社会的に無視された人々の立場に立って、不平等および帝国主義と闘う革命的マルクス主義の要請に重点を置いていた。

 ガビノとして知られた、初代のELN司令官、ニコラス・ロドリゲス・バウティスタによれば、この組織は、「コロンビアの抑圧された人々、搾取されている人々と一緒に闘い、オルガーキーの挑戦に立ち向かい続ける」ことを目的として結成された。いくつかの選択肢の中から武装闘争を選択したELNは、抑圧的で殺人的なコロンビア国家による交渉のテーブルを取り去った。FARCと同じように、搾取に対して抗いながら、住民の社会的に必要な利益となる闘いを目標としていた。同じようにキューバ革命を見習っていたが、一つの重要な違いは、ELNは、最初から、国家権力を掴むことが目標だと言明していたが、それは、農村を基盤としたFARCが、数十年後まで、農業を中心とした政治綱領に組み入れなかった目標であった。

ガビノとティモチェンコとして知られているFARCの司令官ティモレオン・ヒメネスは、長い間、コロンビアの対立を終わらせるために、「すべての反政府組織との討議を前進させること」を政府に呼びかけていた。FARCと同様に、ELNは、これまでの政府との和平協議を呼びかけたが無駄に終わっていた。2001年の当時のアンドレス・パストラナ大統領政府との交渉は、すぐに決裂し、後続の2000年代初期から中頃の極右翼のアルベルト・ウリーベ大統領の政府との3回の対話も失敗した。両方の反乱軍組織は、承認された政治的な舞台に参加するために武器を取り換えるために、和平協定を通じて、軍事スタイルから政党への移行を求めている。

 FARCリーダーと多くのアナリストは、ELNとの紛争終結協定が成立すれば、コロンビアが安定した、平和な状態が続けられると主張していた。ELNは、政府とFARCの歴史的和解を称え、和平への重要な一歩だと祝福していたが、自身の部隊との和平プロセスは、キーとなる「主権的」な差異が示される、と主張していた。特に、ELNリーダーは、コロンビア人民、特に、社会の片隅に追いやられたグループの民主主義的な参加の重要性を強調していた。

 和平プロセスは、数か月遅れで、金曜日にキトーで公式に開始される。エクアドルのラファエル・コレア大統領は、エクアドルが、対話を準備し、政府とFARC間の対話で果たしたキューバの役割を果たすことになると話していた。最初の交渉は、45日間を予定し、合計で22回の交渉がエクアドルだけでなく、両者の対話と仲介の用意を申し出てくれたいくつかの国で行われる予定である。

 元農業大臣であるファン・カミーロ・レストレポが、政府の交渉役となり、一方、パブロ・ベルトランが、反乱軍組織を代表して交渉に臨む。

 「我々は、平和が、多文化で多様性のある、すべてのコロンビアを統一できる力であると信じている。」と、10月に、対話が開始される日を両者が発表した記者会見で、ベルトランが話していた。

 対話は、すでに予備交渉で合意している、重要な6項目を取り扱う。すなわち、和平を建設する過程での市民社会への参加、和平への民主主義、和平への変革、被害者、停戦と協定の実現である。工程表は、相当部分、政府とFARCの協定の土台と重なり、対立の根底にある不平等の根本的な原因を強調している。

 反乱軍と政府は、3月30日にベネズエラのカラカスで、和平交渉を開始することで合意し、2年に渡る秘密の予備交渉の後、大きな突破口を作り出した。しかし、先月、FARCとの和平協定が合意に達するまで、更なる進展はなかった。ELNは、昨年5月に、公開の交渉が開始されると発表し、それは、政府当局と一緒に和平協定を達成しようとする意志であると述べていたが、

ベルトランによれば、政府は、それらの合意を修正しようとしてきた。

 コロンビアの50年に渡る軍事対立は、約26万人の命と、少なくとも700万人の強制移住という犠牲を強いてきた。52年間の紛争の間に行われた、暴力と人権侵害の80%は、右翼準軍事組織に責任があると見られている。(N)

原文URL:

http://www.telesurtv.net/english/news/Colombias-Cuban-Inspired-Guerrilla-Group-Follows-FARCs-Path-20161026-0021.html

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    趣旨

    今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

    おことわり

    このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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