ベネズエラ:議論が進む『コムーナ市法』

  • 2021.04.19 Monday
  • 05:11

ベネズエラのコムーナ市法:帝国主義と資本主義に対峙する闘いの共有化

Venezuela’s Law of Communal Cities: Communization of the Struggle to Confront Imperialism and Capitalism

2021年4月14日 venezuelanalysis(By Movimiento de Pobladoras y Pobladores – Alba TV)発

 

ベネズエラ最大の草の根組織の一つが、国民議会で審議中の問題の法律に関してその立場を提示している。

Venezuela’s Settlers’ Movement debates the Law of Communal Cities currently going through parliament. (Alba TV)

現在議会で審議中のコムーナ市法について議論するベネズエラ入植者運動。|写真:(Alba TV)

 

 ベネズエラの国民議会は現在コムーナ市法を討議している。ニコラス・マドゥーロ大統領は6月までに200のコムーナ市を作ることを目標とすると発表した。4月と5月の間にこの法律は2回目の読み上げがあると見られている。

 

 このプロジェクトはコムーナ住民評議会やコムーナ複合体のような既存のコミュニティ構造に基づいて構築することを目指している。それには、組織されたコミュニティに能力と資金を移転すること、参加型民主主義の適用、コムーナ企業の創設、全国コムーナ議会の設立が含まれているといわれている。

 

 社会党(PSUV)議員によれば、この法律の目的には「現在の意識と社会的習慣の脱植民地化、新しい本物の人間的精神と主観性を構築するためにコムーナ住民評議会やコムーナの機械的な合算を越えること。」が含まれている。

 

 しかし、このホワイトペーパーは、反憲法的な「二重構造」を作り出し、「社会主義制度」を押しつけて市長や知事職を廃止しようとするものだと主張する野党からの批判を浴びている。

 

 一部の左派コムナルドも懸念を表明し、ベネズエラの最も強いコムーナはトップダウンの法律によって共産主義的空間を作ることはできないと指摘している。他の人々は、コムーナ市を建設する取り組みで国家の役人からの抵抗に直面したこれまでの草の根の経験を引き合いに出して、改良主義者や官僚主義的傾向、あるいはコムーナ建設への国家の関与に疑問を呈して警告を発している。

 

 以下はベネズエラの強力な草の根組織の一つ:モビミエント・デ・ポブラドーラス・イ・ポブラドーレス(入植者運動、以降、ポブラドーラス)による声明である。

 


 

 提案されたコムーナ市法は大きな革命的可能性を秘めたチャンスであるとポブラドーラスは考えている。それはボリバル革命の哲学との継続性を提供し、チャベス主義の強さを解き放つかもしれない。それはまた戦略的な内部討議を可能とし、革命的コムーナの地平に向けた闘いにおける勢力の再編成を可能とする。

 

 帝国主義の封鎖は(ベネズエラの)レンティア資本主義を殺し、それによってこの国の人民と支配的セクターとの間に階級闘争を引き起こした。この状況において、この法律は現在の危機を政治化し、死にかかっているレンティア資本主義モデルの再生とコムーナ社会主義の誕生を推進することの間にある誤ったジレンマを計るツールでなければならない。

 

 我々はこの誤ったジレンマを非難する。すなわち、そのレンティア状態のおかげでベネズエラは厳しい状況に耐えてきたのではなく、そのコミュニティと集団的な構造によって耐えてきたのだ。

 

 これらの集団的な構造は革命を通して推進され、強化されてきた。実際、レンティア収入の不足を補い、連帯、相互支援、集団労働、自発的部隊、自主管理と大衆経済によってその残りをよりましな生活条件へ転換することを可能としてきた。これらの実行は我々に偉大な強さ、即ち人民権力を実現することを可能とした。

 

 我々がそのために闘うならば、コムーナ市法は、帝国主義との多面的な闘いを我々に実行させることを可能とするボリバル社会主義へのコムナルの道を強化するツールとして使われるかもしれない。

 

 共有化はボリバル革命のこの段階を導く政策でなければならない。コムーナ構造の一要素であるコムーナ市は、コミュニティ構造を強化する革命的戦略の一部でなければならない。これらの構造によって帝国主義の封鎖、資本主義の制度的危機やCOVID-19パンデミックに人民が耐えることができるようになる。それらは死につつあるレンティア資本主義モデルに代わるものとしてコムーナ社会主義のゆりかごであるべきだ。

 

【コムーナ市に向けた闘いの4つの目的】

 

 帝国主義およびベネズエラに対するハイブリッド戦争に対する闘いは、階級闘争のために解き放たれた人民勢力と共にコムーナ領域から闘われる。

 

 人民管理と自主管理は搾取と略奪に対して活性化される。官僚主義と家父長主義に対する議会権力と自治。マフィアと暴力に対する領域管理と大衆防衛。チャベス主義者と人民の敵に対する革命的大衆統一。資本主義に対するコムーナ市におけるコムーナ社会主義の肉と血。

 

 戦略的政治討議の確保に貢献し、この法律の幾つかの側面を強化するために、ポブラドーラスは提案する。

 

1、政治的管理、生産計画、組織化と社会関係などの生活のすべての分野の共有化。それは組織された人民の手に渡されるべきである。これすべては先住民や農民が使ってきた考え方である、共有された生活必需品を基礎としたコムーナ生活方法を再生産するという基本目的を持つ必要がある。領域的集団の所与の制度における一つ以上のグループによる、生活(食料、医療、教育、輸送、水、エネルギー、住宅など)のために必要とされる共有された手段の、組織されたコミュニティの直接管理による自主管理が基礎となるべきである。

 

2、コムーナ住民評議会が使用している原則に従った人民主権と直接民主主義の適用。コムーナ市はそこに居住し、この法律が提案しているメカニズムを通して人民主権を行使しているすべてのコムナルドで構成されるべきである。コムーナ市のすべてのコミュニティは、最も重要な問題を討議し、重要な決定を検証する空間である、基本的なレベル構造としての活発な市民集会を持たなければならない。

 

3、社会的統制と自主管理がコムーナ市における社会主義の中心にならなければならない。コムーナ領域に存在している国家および民間セクターの関係は、コムーナ市によって徐々に社会的管理の対象になる必要がある。コムーナ市は消費、所有および管理を監督すべきである。同様に、コムーナ市の生活の鍵となるほとんどの公共および民間セクターの関係は、徐々に直接的なコムーナ管理へ引き渡すべきである。

 

4、都市革命。近代都市の民主化はブルジョアのリベラルな生活様式、人民の大多数と環境から抽出することに基づく領域的発展パターンを越えて進むことを伴う。コムーナ市は領域のほぼ脱植民地化である。我々は都市生活の権利について議論しているのではなく、目的を共有し大衆によって管理される生活のための都市建設について議論している。共有地の使用が住民の公益に従属する領域について我々は議論している。それは近隣や領域の歴史的な議論となっている自主管理である。とりわけ、土壌、水、エネルギー、輸送、教育および通信は集合的であり、コムーナ市によって管理されるべきである。

 

 闘いおよび歴史的に重要な大衆討議における指針となる基準としてこれら4つの軸を我々は提起した。

 

 それらは、帝国主義によって課せられた植民地モデルに代わるものとして、社会主義的コムーナ社会の建設と大衆文化を強化するための進行中の闘争の一部ともなるべきである。

 

Movimiento de Pobladoras y Pobladores:

Movimiento de Trabajadoras Residenciales [住民労働者運動]

Campamentos de Pioneros [開拓者キャンプ]

Movimiento de Inquilinos [賃借人運動]

Comités de Tierra Urbana [都市土地委員会]

Movimiento de Ocupantes de Edificios Organizados [組織された建物占拠者運動]

原文URL:

https://venezuelanalysis.com/analysis/15171

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    趣旨

    今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

    おことわり

    このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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