ベネズエラ:危機と批評(7)

  • 2020.07.31 Friday
  • 05:26

ベネズエラアナリシスから。


危機と批評:ベネズエラの2020年の議会選挙向けのシナリオ

Crisis & Critique: Scenarios for Venezuela’s 2020 Parliamentary Elections

2020年7月26日 venezuelanalysis(By Ociel Alí López)発

議会選挙がベネズエラの政治的膠着の出口車線を提供するのか、それとも高い棄権とエスカレートする米国の攻撃が危機を深めるのか、オシエル・ロペスが問う。

(Prensa Presidencial/Venezuelanalysis.com)

(Prensa Presidencial/Venezuelanalysis.com)

 

 最近数週間に多くの出来事が起こり、それは現在の政治危機と国内の安定した新しい状態に向かう道を開くように見える。

 ロードマップにはいくつかの民主的・選挙的な要素があり、それは国家機関によって引き継がれる法令に適合する。

 政府の戦略は、大まかにいえば、我々がこれから検討する最近の幾つかの進展に基づいて新しい民主的な枠組みを作成することである。

 このロードマップには、憲法と矛盾したところや恣意的な操作が沢山あるが、現在の経済危機と米国主導の国際的な包囲攻撃という状況の中で、それは唯一の実行可能な政治的解決策である。それはまた2022年に大統領のリコール国民投票への道を開き、ニコラス・マドゥーロ大統領は一つの選択肢としてそれを認めた。ファン・グアイドの「暫定大統領」の永続化は今では現実の政治ではなく、幻想の領域である。

 

 この戦略は二つの要素に依存する。まず、トランプあるいはバイデン下にあるワシントンはベネズエラに対する攻撃を縮小し、政府と対話する野党政治家に対する極度の制裁も含めて過去に米国が行ってきたような民主的なプロセスへの干渉を控える。

 二つ目の最も重要なことは、現代のベネズエラが陥っている地雷原の武装解除が可能な唯一の方法として大衆の多数が投票に戻らなければならない。

 

【新議員の選出と選挙による解決】

 

 最近数週間にベネズエラでは多くの重要な政治的進展を見てきた。6月と7月に3つの異なる判決を下した最高裁判所(TSJ)は、野党の民主行動党(AD)、正義第一党(PJ)と人民の意志(VP)の執行委員会に介入し、政府と多かれ少なかれ公然と交渉に入るための、党から提案された指導者を指名した。

TSJはまた、野党が支配する国民議会が憲法上の義務を果たすことができなかった後、6月12日に新しい全国選挙評議会(CNE)も指名した。2019年9月から政府と対話していた少数派の野党グループは今年の議会選挙を保証するために高等裁判所に介入するように申し入れた。新しいCNEには政府と野党代表の双方が入り、12月6日の議会選挙の発表などこれまでのすべての決定を協力して行ってきた。

 

 6月24日に、マドゥーロは2022年に大統領リコール投票の可能性を示唆し、憲法的メカニズムを発動させた。それはこの国の選出されるどのポストにも有効である。この発表は大きな期待を集めていないが、とりわけ2016年には旧CNEのフットワークの悪さと国内野党の分裂によって国民投票が阻止されたので、政府が公然とこのようなシナリオを提示したのは今回が初めてである。

 

【今後の二つのシナリオ】

 

 最初の可能性は、共存という新しい枠組みの中で民主的で憲法的な道筋を通して危機を解決できるように、政府やチャベス主義者も野党もすべての当事者を巻き込んで民主的なプロセスを再開することである。

 国民投票は彼の大統領最後の年にマドゥーロの帆に第2の風を吹かせることができるかもしれず、チャベス主義を活性化させるかもしれない。投票で敗れたとしても、分裂した野党を前にして新しい候補を擁立する1ヶ月の猶予となるかもしれない。

 

 第2のシナリオは、国内で確固たる政治勢力として与党統一社会党(PSUV)を強化することであり、高い棄権を背景として12月に国民議会の過半数の議席を獲得することである。

 基本的に、どのようになるかを決定する決定的な要素が二つある。それは棄権のレベルであり、マドゥーロの政治戦略への信頼性を反映する。そしてワシントンの役割である。もし、米国が経済制裁とチャベス主義者のリーダーを犯罪化することを狙った措置をエスカレートさせ続けるのであれば、政府は腰を据える以外の選択肢はなく、敗北と政権を手放す報復リスクの可能性のある選挙プロセスを拒否することになる。しかし、制裁が解除され、国際的な当事者が政府と野党に必要な保証を提供すれば、既存の民主的なメカニズムを通じて危機が解決される可能性が開ける。

 

【新しい野党?】

 

 上記の一連の措置と機関的な決定は、最も重要な野党当事者に関する決定的な対応を受けたものではなかった。これはパンデミックによる動員解除がもたらせただけでなく、多くの著名な野党指導者が公然と参加した2019年4月30日の失敗した軍事反乱から、「ゲデオン作戦」として知られる去る5月の民兵組織の挫折に終わった侵入までの永い敗北の連続に野党指導者の政治的消耗を反映したものでもある。野党の過激派派閥はグアイドの「暫定大統領」に政治的資本のすべてをつぎ込んだが、18ヶ月後、ほとんどそれ自身示すことは出来ない。一方、より穏健な野党はワシントンとマイアミが作成した強硬な体制転覆政策にほとんどが屈している。

 

 しかし、その他の野党には可能性がある。

 

 これすべてと並行して、政府は国民対話円卓会議の一環として少数野党と交渉を続けており、今、彼らはCNEへ代表を送り、この新しい政治戦略に共同参加している。彼らに加わるのは新しい指導者を持つ伝統的な野党である。TSJは野党の歴史的な指導部を置き換えたが、この結果どうなるかはまだ分からない。

 この法制度の枠組みと投票に関わるすべての当事者により、選挙日程まで待たなければならない変数は一つだけである。すなわち、それらの政党のメンバーが新しい条件によって元気づけられ、こぞって投票することを決定するのか、それとも反対にボイコットするのか?

 これは政府の戦略が成功するか失敗するかを決定する上で鍵である。なぜなら、高い棄権は危機からこの国を抜け出させることを目指すこの計画を挫折させてしまうからである。

 

【野党の棄権のジレンマ】

 

 予想通り、野党指導者は政府の措置を拒否し、12月の選挙に参加することを除外した。

 マドゥーロの2018年の再選(54%)における棄権率の高さはグアイドの「暫定大統領」と政治的移行を強制する暴力的な取り組みへの道を開いた。12月6日に同様の棄権の高さは与党PSUVだけでなく、政治制度全体すら危険な状態に追いやるかもしれない。

 しかし、棄権主義を支持する人々は、野党がボイコットを呼びかけて、議会がチャベス主義者の手に独占的に委ねてしまった2005年に何が起きたかを思い出さなければならない。その時にはチャベス主義者がすべての機関を引き継ぐことになり、大いに強化されることになってしまった。様々な野党のスポークスマンが時間と共にその決定を批判的に反省していた。しかしながら、様々な兆候から、野党は同じ失態を繰り返しそうだ。

 

 彼らを説得するために、マドゥーロは2022年のリコール国民投票の可能性を切り出した。新しい野党はそのポイントに到達出来るのか、それとも途中で難破してしまうのか?12月だけが教えてくれる。

 

【2020年の議会選挙】

 

 反対派の大衆はボイコットの呼びかけに固執し、PSUVが現在唯一支配していない機関、すなわち国民議会で圧倒的な多数で勝利することをPSUVに許してしまう可能性がある。それが最も可能性のある結果である。

 

 別案は、2022年のリコール国民投票の可能性の議論を使って参加を決めた野党セクタが野党の大衆のモチベーションを高めて歴史的指導者の棄権呼びかけを拒否して大挙して投票へ行き、議会をPSUVと分け、与党の全面的な支配を阻止する可能性である。

 同時に、過激派セクタは政治分野への参加の必須条件としてマドゥーロの打倒を主張するだろう。高い棄権は、強硬派野党が主導権を維持し、暴力の道を歩み続けることを意味し、より厳しい制裁と新たな軍事的冒険をも求めることになる。

 心に留めておかなければならないもう一つの要素はCOVID-19パンデミックの影響である。それはベネズエラで拡大しており、12月でも収拾していない可能性がある。論理的な結果は棄権の増加である。しかし、ウイルスは政府にとって高い棄権の完璧なスケープゴートとして役立つかもしれない。明らかなことは、12月の選挙が承認されており、すべての兆候によって適切な衛生対策が講じられてその実施が計画されていることである。

 

この記事に表明された見解はあくまで著者自身のものであって、必ずしもベネズエラアナリシス編集者の見解を反映したものではない。

原文URL:

https://venezuelanalysis.com/analysis/14951

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趣旨

今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

おことわり

このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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