ベネズエラ:現状についてコミューン活動家に訊く

  • 2020.05.15 Friday
  • 05:18

注目すべきことは人民自身が祖国の主権を守ったことだ。米帝国主義者はベネズエラ人民を見くびっている。


ベネズエラにおける傭兵、パンデミックおよび暴動:草の根の視点

Mercenaries, Pandemic and Riots in Venezuela: A Grassroots Perspective

2020年5月12日Venezuelanalysis(By Federico Fuentes and Atenea Jiménez – Green Left)発

グリーンレフトのフェデリコ・フエンテスがこの国で起きていることの要点を知るために全国コミューン活動家ネットワークのスポークスパーソンであるアテネア・ヒメネスと会話した。

Incidents of looting have occurred in some small- and medium-sized towns, such as Upata, Bolivar state. (Green Left)

ボリバル州ウパタのような幾つかの中小都市で起きた略奪事件。|写真:Green Left

 

 ベネズエラは外国の制裁及び傭兵の侵入の中でCOVID-19に直面している。さらに事態を複雑にしているものは、深刻な不況と全国的なロックダウンである。それは略奪と暴動事件を引き起こしている。

 グリーンレフトのフェデリコ・フエンテスがこの国で起きていることの要点を全国コミューン活動家ネットワークのスポークスパーソンであるアテネア・ヒメネスと会話した。

 

【まず、COVID-19パンデミックに政府がどのように対処しているかお話していただけますか?】

 

 包括的な措置を実行するために政府が迅速に行動したことはみんなが認識している。

 例えば、ベネズエラはこの地域のどの国よりも一人当たりの検査実施数では、大量に検査する体制を取った。

 オンライン祖国プラットフォームを通して、市民は自分がCOVID-19の症状を持っているか当局に知らせることが可能となっている。すぐに医師がその家庭へ出かけ、それらの人々に付き添った。

 バリオ・アデントロ(住居区の中へ)プログラムを通して約20年間以上地域医療へ沢山の労力がつぎ込まれた。これはがパンデミックと対峙できる基盤となっている。すなわち、医師による個別訪問、地域住民との協力である。

 政府は全国的に隔離を実施し、州と自治体間の移動を制限している。

 これらの措置は不可欠である。なぜなら、この国に制裁と封鎖が押し付けられているためベネズエラの公的医療制度が大部分崩壊しているからだ。この国の病院には適切に機能するために必要な設備を備えていないということだ。

 ここ数年、米国はベネズエラに制裁を課しており、特に石油産業を標的にしている。これらの制裁は、原油価格の暴落と組み合わさって、ベネズエラに深刻な影響を与えている。この国の食料、医薬品や設備の輸入能力は原油の売り上げに依存しているからである。

 ただし、一部の州では非常に徹底的な隔離を実施しており、本質的に州の軍事化状態となっていることを指摘しておくことも重要だ。それは我々が同意しないものだ。

 例えばララ州では、州政府は毎日午後2時以降の外出禁止を実施している。それは、それ以降は必要な商品を買ったり、毎日の必需品を間に合わせるために誰も通りに出られないことになっている。警察が通りにいて、外出禁止を破ったことが見つかった人は逮捕される。

 しかし、この国の多くの地域では、水道・電気や家庭用ガスが不足しているので、基本的な問題を解決するのも簡単ではない。多くの家庭ではガスがつながっておらず、だから、人々はガスボンベを購入する必要がある。しかし、それを見つけるのも容易ではない。これは長期的な問題であるが、COVID-19のために状況は一層悪くなっている。

 これは、例えばララ州の人々が歩き回ることが可能でなければならないことを意味している。もちろん、マスクを着けたり、社会的距離を取ったり、必要な措置を遵守する必要があるが、彼らは調理するための食材やガス、水を入手するといった日常的な問題を解決できることも必要だ。

 

【政府はこのような日常的な問題にどのように取り組んでいるのですか?】

 

 この点では政府は完全に間違っている。パンデミックが経済危機、すなわち経済政策の誤りならびに米国が押し付けた制裁と封鎖という二つの基本的な問題にすでに我々が苦しんできた危機をさらに悪化させたことになる。

 これに加えて、ベネズエラ住民の大多数は非公式経済と送金によってかろうじて何とかしのいでいる。自分の給料だけでは誰も生きていけない。

 政府は最近最低賃金を1か月4US$強に引き上げた。これに対して、家族が生き延びるためには350$から500$が必要だと推定されている。

 この状況は今に始まったことではない。賃金を押しつぶしてきた長いプロセスがあり、それは人々が生きていくのを極度に困難にしてきた。

 しかし、人々が非公式経済で日常的な問題を解決するために、送金を引き出すために、常に必要となる外出ができないことを考えれば、状況はずっと難しくなっている。

 

【最近、幾つかの地域で大規模な略奪を引き起こしているものはこれですか?それともそれは野党勢力によって煽られたものですか?】

 

 最近の略奪の発生はほとんど自然発生的なものである。彼らは特に野党グループに組織されてはいない。これらの抗議行動の大多数は、中小規模の町で起きているが、絶望に駆り立てられた人民の表現だ。

 これは一部の都市、一部の場所で、野党勢力がこの抗議に何の役割も果たしていないということではない。しかし、我々が持っている情報によれば、彼らの存在は最小限か、ほぼない。

 そうではなく、これらの事件の大多数において、食べ物がない、収入が無い、そして政府が彼らを助ける必要な社会的措置を講じていないことによって、絶望した人々の怒りをこれらの抗議行動は自然発生的に表現したものである。

 これは政府の失敗の一つだった。すなわち、全国的な隔離に経済的影響に対処するために必要な対策が伴っていなかった。

 さらに、例えばウプタでこれらの抗議行動の一部を押さえ込むために国家警備隊が使用されたのを我々は目にした。彼は抗議に加わった一人を射殺し、さらに数人を逮捕したようだ。

 状況は非常に複雑であり、懸念されることはこれらの抗議行動を率いているのは右翼でもなく、チャベス主義者以外の批判的左翼か、それとも政府を支持している左翼であるかに関係なく、左翼でもないということだ。しかし、彼らの抗議や要求に住民が付き添う必要性は理解する。

 

 状況は複雑だが、起きていることを正しく分析することが重要だ。簡単言うと、これらの抗議行動は、介入主義者、人民の間で起きていることを混乱させる右翼の政策に影響を受けており、我々の面前で爆発する状況になる可能性もある。

 

【最後に、最近の外国人とベネズエラ人の傭兵による軍事侵攻について何か教えていただけますか?】

 

 ベネズエラでは米国とコロンビアの傭兵による侵攻は目新しいものではない。

 例えば、2002年の(当時の)ウーゴ・チャベス大統領に対するクーデター未遂で、その事件に加担した二人の米国の傭兵が逮捕された。

 コロンビア民兵組織もまた、コロンビア革命軍(FARC)の重要な指導者を誘拐し、この国から連れ出した事件で、首都カラカスまでの全経路の侵入に関与していた。

 今回注目すべき重要なことは、我が主権を守るためにとられた作戦がベネズエラ人民自身によって実行されたことである。傭兵を基本的に逮捕したのは地元の漁師である。これは注目すべき重要な要素である。

 ベネズエラの国民は、我が祖国に対するいかなる軍事行動も容認することのない反帝国主義の人民である。ベネズエラ国民の大多数はそのような行動に反対する。

 もちろん、反対派には侵略を支持するものもいる。彼らは米国が侵入して現在の状況を終わらせたいと願っている。しかし、大多数の人民は反帝国主義の立場を維持している。これは様々な機会で実証されてきたことだ。

 起きたことは、米帝国主義が再びベネズエラ人民を過小評価したことだ。彼らはずっとベネズエラ政府を、とりわけベネズエラ人民を見くびってきたのだ。

 彼らは「この国を救う」ために30人から60人の傭兵を送れば、人民がそれに加わると考えている。これは、ベネズエラ人民について、我々の歴史について、我々の意識についての理解が全く不足していることを示している。

 

この記事に示された見解はあくまで著者自身のものであって、必ずしもベネズエラアナリシスの編集スタッフの見解を反映したものではありません。

原文URL:

https://venezuelanalysis.com/analysis/14871

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    趣旨

    今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

    おことわり

    このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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