米国:裁判を目前にしたベネズエラ大使館保護集団との対話

  • 2020.02.09 Sunday
  • 06:20

昨年4月から5月にかけて、ベネズエラと連帯する平和活動家たちがベネズエラ政府の許可を得て、グアイドのクーデター仲間にワシントンDCにあるベネズエラ大使館を渡さないように立てこもった。この攻防は37日間続き、大使館の外にはクーデター反対派と支持派が結集し大混乱混乱となったが、米国警察がクーデター支持派と協力して、大使館を包囲し、食料、電気、水を遮断した。最終的に警察がウイーン条約に違反して大使館に押し入り、残っていた4人を逮捕した。まもなく開かれる裁判を前にして、ベネズエラアナリシスが大使館保護集団に独占インタビューした。


大使館保護集団:「我々は法を犯していない」

Embassy Protection Collective: ‘We Are Not the Ones Who Violated the Law’

2020年2月4日 venezuelanalysis(By Paul Dobson)発

この独占インタビューで、VAは裁判を前にしたワシントンDCのベネズエラ大使館を防衛した活動家たちと対話した。

The four members of the Embassy Protection Collective hang signs from the windows of the diplomatic building before being evicted. (EFE)

追い出される前に、大使館の建物の窓からサインを出す大使館保護集団の4人。|写真:EFE

 

 2019年1月にグアイドが「暫定大統領」を自称した後、米国政府は野党の指導者ファン・グアイドをベネズエラの国家首脳として承認し、マドゥーロ政権と米国政府の外交関係断絶の口火を切った。

 3月に、グアイドの米国代表カルロス・ベッチオがワシントンDCにあるベネズエラ大使館で店を構えようとした。しかしながら、37日間占拠した約10人の活動家によってそれは阻止された。グアイドは選ばれていないし、この建物を押収する法的根拠を持っていないと活動家たちは主張した。

 4月10日に始まった占拠は、米国のシークレット・サービスがこの大使館に押し入り、残っていた4人の活動家を逮捕した5月に終わりを迎えた。彼らは大使館保護集団として知られている。ケビン・セース、マーガレット・フラワー、アドリエーネ・パインとデビッド・ポールである。

 この独占インタビューで、VAのポール・ドブソンがまもなく始まる裁判とその政治的重要性について彼らと話し合った。

 

【この大使館保護集団をよく知らない人のために、あなた方に突きつけられた罰金、今日までのプロセス、そして今後の政治的シナリオについて簡単にお話いただけますか?】

 

 4人の大使館保護集団のメンバーはワシントンDCの連邦裁判所に「米国国務省の保護機能を妨げた」容疑で起訴されている。

 トランプ政権は我々が退去を拒否したことが政府の大使館保護能力の妨げになったと主張している。

 裁判は2月11日に始まる予定で、おおよそ1週間続くと見られている。最大の罰則は最長1年の禁固とそれぞれ最大10万ドルの罰金である。

 我々の判事はワシントンDC地域裁判所の主任判事であるベリル・A・ホウエル判事であり、彼はこの裁判を迅速に解決することを主張している。弁護団のうちの二人は、この裁判の準備に6ヶ月もかけたのに、他の裁判とぶつかり、判事によって解任された。ハウエル判事は証拠開示手続きのための我々の申請をすべて拒否し、我々が法廷で発言できること、我々自身の弁護の方法の両方を制約している。トランプ政権の検察官も陪審員が裁判で発言することに大きな制約をかけようとしていた。

 

【政治裁判であなた方が政治について話すのを禁止するとはどのようなことか説明していただけますか?】

 

 ハウエル判事は法廷から政治を閉め出そうとしている。その結果、我々が大使館にいたことを理解する重要な事実や状況を陪審員が受け取ることはほとんどない。これは米国の政治訴追ではよくあることである。

 長い間一貫して保持されてきた米国の法的な先例では、裁判所は政治的な問題に関与しない。特にこの事件に関しては、米国の大統領が誰を他国の指導者として認めるかということである。裁判所は大統領の決定に疑いを挟むことはない。

 その結果、ファン・グアイドが(実際には)1分たりとも大統領になったことがないにもかかわらず、彼をベネズエラの大統領だという法的フィクションの範囲内で法廷の審理が行われることになる。

 もし検察官が彼らのやり方を取るならば、大使館保護集団がベネズエラの選挙で選ばれた政府の許可を得て37日間大使館内にいたこと、カルロス・ベッチオは大使ではなく失敗したクーデターの一味であること、ウイーン条約は米国がその大使館に入ることは違法であることは、陪審員に伝えられることはない。

 外国大使館の保護に責任がある米国のシークレット・サービスがクーデター支持の暴徒と協力してこの集団のメンバーを恐怖に陥れ、ドアや窓を破壊して大使館に侵入し、食料の配給を妨害し、活動家を襲撃したことを彼らは伝えない。彼らは電気と水を違法に遮断したことを伝えない。

 公正な裁判を受ける憲法的な権利を主張することによって、我が弁護団が陪審員に弁護を提示できるように活動している。これが達成できない場合は控訴するつもりだ。それは判事が避けたがっている再審となる可能性がある。多くの場合、これが米国の刑事裁判制度の現実である。

The Washington DC embassy was occupied for 37 days with the permission of the elected Venezuelan authorities. (Shannon Stapleton / Reuters)

ワシントンDCの大使館は選挙で選ばれた政府の許可を受けて占拠された。|写真:(Shannon Stapleton / Reuters)

 

【米国政府はこの事件で何を得、何を失いましたか?米国の大衆運動にとってどのような影響がありますか?】

 

 米国主導のクーデター(未遂)から外国大使館を保護するために米国市民がその中に入った最初なので、この裁判は、平和、正義および反帝国主義活動家に対する国家の挑戦である。政権打倒の取り組みを邪魔しているすべての人に対して、そんなことをすれば罰せられるというメッセージを政府は送りたがっている。

 政府とメディアは協力してこの紛争が報道されないようにしている。ベネズエラで失敗した米国のクーデターについて、ファン・グアイドの正当性について、2018年5月にマドゥーロ大統領が民主的に再選されている現実についてこの事件が疑問を起こさせることになるので、メディアは何が起きているのか報道しなかった。

 傀儡グアイドとのクーデター(未遂)はトランプ政権の困惑をますます拡大した。それにもかかわらず、米国はベネズエラ野党への資金援助を更新し、ベネズエラの主権と健全性に対する攻撃を続けている。

 米国政府とメディアは、ベネズエラが独裁であり、マドゥーロ大統領は暴君であるという嘘の筋書きを出し続けている。米国によって引き起こされている悪質な経済戦争の最中であっても、ベネズエラ政府が国民に基本的な必需品をどのように提供しているかについて彼らは報道しない。ベネズエラに押しつけている違法で一方的で強制的な措置が数万人の死をもたらせていることをメディアは報道しない。経済戦争が軍事戦争と同じくらい破滅的で死をもたらせるものだと米国の人々が理解すれば、彼らは反対するだろう。

 もし我々が無罪判決を受けることがあれば、ベネズエラやその他の米帝国主義の標的に関する物語全体が問題となるだろう。米国主導のクーデター(未遂)とファン・グアイドの承認は恥ずかしいことであり、大使館に侵入したことによって法律を犯したのは米国政府であることが実際に確認されることになる。大使館を保護している市民は国務省の機能を妨害しているのではないという法的先例を作ることにもなる。国務省が国際法に従っていれば、そもそも大使館保護集団は必要ではなかった。

 

【国際法と国連憲章の尊重を要求する国際的な取り組みとの関係において、あなた方の闘いをどのように見ていますか?】

 

 ワシントンDCにあるベネズエラ大使館が包囲された日、(世界中の)他の都市のベネズエラ大使館も攻撃を受けていた。それらの国の社会運動も大使館を防衛した。

 DCの大使館の我々の存在は世界中で注目を集めるほど永く続いた。それは、我々がギャング行為と呼んでいる、米国の無法性を強調するものとなった。

 我々を不法侵入の罪で告訴するという馬鹿馬鹿しい明け渡しを通告するために警察がきた時、我々を逮捕するために大使館内に違法に侵入することはウイーン条約違反であり、それは世界中の大使館に影響を与えることになると彼らに警告した。法の支配が暴徒の支配に取って代わられる。これが今実現しているのを我々は見ている。

US police begin the nighttime raid to evict the Embassy Protection Collective in violation of the Vienna Convention and international law. (Sputnik)

ウイーン条約と国際法に違反して大使館保護集団を退去させるために真夜中に襲撃を開始する米国警察。|写真:(Sputnik)

 

【ベネズエラ連帯を支持している多くの人にとって、この占拠は帝国主義支配と民族自決の間の対立の中心にあなた方を置きました。この経験によってあなた方の政治的分析や動機はどのようになりましたか?】

 

 我々が大使館に入り、選挙で選ばれた政府の許可を得て滞在していた時、何を予測すべきか分からなかった。最初の3週間は出入りすることや食べ物を持ち込んだり、イベントを開催したり、自分の仕事をすることができた。警察はほとんどいなかった。ニューヨークの領事館やワシントンDCの軍事大使館員事務所で済ませているように、我々が中にいることでファン・グアイドのクーデターの仲間に大使館を引き渡すことを少し難しくすればいいと思っていた。

 カラカスで軍事クーデターが未遂に終わった日、4月30日にあらゆることが変わった。

 クーデターの支持者たちが大使館へやってきて、その後17日間、シークレット・サービスと協力して包囲網をしいた。この支持者たちは十分に装備し、訓練を受けていた。

 この2週間半の間に、ベネズエラやその他の国々の人々が永い間経験してきた人種差別、憎悪や暴力を個人的に経験した。食料、電気と水が遮断された時、経済戦争下で生きていくのと同じようなことを経験した。もちろん、我々が経験したことは、他国の人々に対して米国が実行している謀略や弾圧に比べれば穏やかなものだった。

 米帝国主義によって標的とされた人々のように、対処方法を見つけることによってその状況に適応しなければならなかった。外にいる我々の仲間たちは暴徒を出し抜き、食料を手に入れ、我々に提供するために身体的な危険にさらされた。多くの人が暴行を受けた。

 これすべてのことによって、我々は米国がやろうとしていることや行動の可能性をより深く理解した。その結果、ベネズエラや他国の人々との連帯を深めることになった。人種差別、軍国主義、帝国主義に反対する活動家として、それは米国の介入主義と闘う我々の決意を強化したし、またそれほど頻繁に発生すること訳ではない米帝国主義に対する直接行動を取るめったにない機会となった。

 大使館での経験は、我々を一体とし、兄弟姉妹とする深い方法で我々を結びつけた。

 

【法廷に持ち込むのではなく、司法取引に応じろという圧力に対してどのように対応しますか?】

 

 処罰から我々を守ることに責任を感じ、我々を交渉させようとすることと政治裁判は異なることを弁護団の幾人かには教育する必要があった。

 我々は最初から罪を認めないと決めていた。我々が法律を犯したのではなく、国際法に違反し、体制打倒の工作員と協力して、我々を脅し、我々の権利を否認しているのは米国政府である。ファン・グアイドへの米国の違法な大使館引き渡しを遅らせることが相互の支配権保護協定を交渉し、問題を平和的に解決することを可能となることを我々は望んでいたので、我々は大使館保護集団と名乗った。ウイーン条約に違反することが対立をエスカレートさせ、おそらく軍事的な攻撃につながることを我々は心配していた。この闘いは我々個人として以上に大きなものだと感じた。

 現在ベネズエラ大使館が空っぽであることを考えれば、我々は勝利を達成した。ベッチオは写真を撮るために一日だけ入室を許されたが、彼が望んだように中にはいない。

 この起訴がどのようになろうと、我々の意図は米国の外国介入、経済戦争、軍事的脅迫と体制転覆キャンペーンに反対する運動の構築を支援することである。モンロー主義の時代は終わらせなければならないし、すべての国の主権は尊重されなければならない。

 我々は五分五分の状況だと考えている。もし我々が無罪になるとすれば、米国の陪審員がクーデターに反対する我々の側につくことになる。もし我々が架空の裁判で有罪となれば、平和と正義を求める運動を前進させるためにそれを利用する。我々は刑務所に行くことも高い罰金を支払わされることも望んでいないが、この裁判がどうなろうと、この運動は拡大し、ベネズエラのクーデターの失敗が一層誰の目にも明らかになるだろう。

The solidarity action against the US-led coup attempt in Venezuela caused a global stir, as well as amassing crowds both in favor and opposition to the activists outside the embassy building itself. (Code Pink)

大使館建物外部の活動家に賛成、反対の双方の群衆を集めただけでなく、ベネズエラでの米国主導のクーデター未遂に反対する連帯行動は国際的な興奮を引き起こした。|写真:(Code Pink)

 

【米国と特にベネズエラの草の根および進歩的なグループからの支援をどのように説明されますか?】

 

 この苦い体験の間、ベネズエラと米国における運動の支援に大変感謝している。大使館にいた時、外で集会を行い、夜通し暴徒が何をするか見張ってくれた人々に我々はずっと支えられてきた。そこにはソーシャル・メディアの活動家だけでなく、テレスール、グレイゾーンとミントプレス・ニュースが常にいた。

 人々は我々が大使館の中に居続けられるよう信じられない程奮闘してくれた。我々は米国中の人々から支援の寄付やメッセージを受け取った。ベネズエラの社会運動から受け取った連帯のメッセージを大事にしており、ベネズエラの外相と大統領からの支援の言葉に感謝している。

 大使館保護者防衛委員会が結成された時、米国政府に反対しているのは我々4人でなく、一緒に立ち上がった全国の人々のコミュニティだった。委員会は法律的弁護のための資金を集め、企業メディアの嘘を打破し、何が起きているかを知ってもらうために我々の講演ツアーを組織した。

多くの社会運動と左翼政党がこのようなイベントを組織してくれ、その結果米国における我々の連帯が高まった。可能な時にベネズエラへ戻ることも楽しみにしている。

 

【裁判が人生を変える結果となる可能性があることに対して、心理的にどのように耐えていますか?】

 

 我々は全く順調だ。我々はこのプロセスの結果を受け入れるつもりだ。意識を高める活動と反帝国主義運動を構築するために、何が起きようと積極的なものとして利用することを決意している。

 米国の刑務所に入ることは非常に不愉快であることは分かっているが、外に支持者たちがまだおり、それを乗り越えられることも分かっている。我々は家族や子供たちの世話をする措置を講じており、我々の反帝国主義の活動は続いていく。

 刑務所で時間を過ごした人々を知っている。もし、我々が服役するのであれば、囚人が直面している条件やそれを改善するための組織化の方法をもっと学ぶつもりだ。

 もしこの裁判で負ければ、それは我々個人として悪い兆候なのではなく、我々が住んでいる制度の現実であることが分かる。我々は同様の経験をした数百万の人々に加わる。心理的影響は、米国のベネズエラ政策における正義と同様に、経済的・人種的・環境的な深刻な問題を抱えている米国で正義のための行動を取らなければならないより大きな義務である。(N)

 

この記事で表明されている見解は著者自身のものであって、必ずしもベネズエラアナリシス編集スタッフの見解を反映したものではありません。

原文URL:

https://venezuelanalysis.com/analysis/14782

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趣旨

今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

おことわり

このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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