チリ、エクアドルとベネズエラの反乱に対する対照的なマスメディアの報道

  • 2019.10.30 Wednesday
  • 06:23

ベネズエラアナリシスの記事を紹介します。


チリとエクアドルにおける反新自由主義反乱に対する「ベネズエラ的な扱い」をMSMが拒否

MSM Denies ‘Venezuela Treatment’ to Anti-Neoliberal Rebellions in Chile and Ecuador

2019年10月24日 venezuelanalysis(By Lucas Koerner - FAIR)発

ベネズエラアナリシスのルーカス・コエネルが、ベネズエラ、チリとエクアドルにおける出来事についてのMSMの硬直した報道の対比を検証する。

 

 ラテンアメリカとカリブで人民が右翼の米国支援政府と新自由主義的緊縮政策に反対して立ち上がっている。

 現在チリでは、億万長者のセバスチャン・ピニェーラ政府が地下鉄の料金値上げから火が点いた不平等に反対する全国的なデモを弾圧するために軍隊を配備した。

 エクアドルでは、IMFの緊縮パッケージの一つとして、レニン・モレノ大統領による燃料補助金の廃止に対する11日間の抗議行動によって、先住民族、労働者と学生がこの国を麻痺状態に追い込んだ。

 ある者はこれらの人民の反乱を民主主義と一般市民の側に立つと主張する国際メディアが率直に同情的に放送することを期待するかもしれない。ところが、企業ジャーナリストは「法と秩序」、「暴力が一杯」、「混沌と不安」の危険な変化としてこれらの反乱を描くことがよくある。

 この描き方はベネズエラにおける反政府抗議行動と顕著な対比を成す。そこでは暴力が強調されるのは一般的に国家が実行したと疑われ時だけだ。西側エリートの目には、ベネズエラの中流階級の反対派はずっと独裁、反米体制に対する合法的な大衆的抗議行動のリーダーである。抑圧的な米国の傀儡国家に対して反乱する貧しい人々は、この台本からの許しがたい逸脱と見られている。

 

【ベネズエラにおける「弾圧」】

 

 企業ジャーナリストはベネズエラ右翼野党の繰り返されるクーデター未遂に彼らの熱狂を抑えることが全くできない。それはいつも「民主化」運動として放送される。(FAIR org,5/10/19)

 2017年には、ベネズエラ反対派は、早期の大統領選挙を要求して4か月間にわたる暴力的で反乱的な抗議行動を率いたが、抗議参加者、政府支持者と巻き添えを含めて125人の死者を出した。それは2002年以来の反対派の主要な5回目の力による政府打倒の試みだった。

 デモ隊のジャーナリストに対する攻撃、政府支持者に対するリンチや暗殺を特徴としていたにもかかわらず、彼らは「独裁政治」に対する「反乱」(New York Times,6/22/17)、「政府の弾圧」に対峙する「反乱」(Bloomberg,5/18/17)や邪悪な体制に立ち向かう「若い扇動者」のダビデのような運動(Guardian,5/25/17)として描写した。記者たちは増大する死者は国家治安部隊によるものだ(France 24,7/21/17:Newsweek,6/20/17)と繰り返し報道したが、反対派の政治的暴力が30人以上の死者に責任があるこという報告については全般的に無視した。

 1月にもこのパターンが繰り返され、その時には、米国政府の激励で反対派指導者ファン・グアイドが「暫定大統領」を自称した前後の日に全国で死者を出す衝突があった。企業放送局は、「暴力的弾圧」(Independent,1/24/19)、治安部隊によって「批判者を標的とするテロが拡大」(Reuters,2/3/19)や「兵士と民兵が反対派活動家を追い詰める」(Miami Herald,1/27/19)とこの事件を描いた。国際ジャーナリストはほとんど反対派の情報に基づいて報道を作成しており、抗議参加者の約38%が暴力的であったこと、少なくとも28%が当局との武力対立を特徴としていたといったマニ教のストーリーを複雑にする不都合な詳細は省いた。

 チリやエクアドルと違って、企業メディアは、昨年の選挙で620万の得票、有権者全体の31%の得票を獲得して勝利したニコラス・マドゥーロ大統領を「権力主義者」(FAIR,4/11/19)、「独裁者」(FAIR.org.4.11/19)、として中傷し、最新のクーデター未遂を正当化して来た。

 

【チリの「暴動」】

 

 最近の数日、サンチャゴの法外な地下鉄料金をさらに上げようとして、チリ市民がピニェーラ政権に反対する大規模な街頭デモを行ってきた。

 高校生が主導して始まり、運動は、ひどく不平等な新自由主義的秩序に反対する大規模な反乱へとエスカレートし、西側支援のピノチェト独裁(1973-90)以来初めて、政府に軍隊を出動させ、外出禁止令を発動させた。

 民主主義の復活以来最大の抗議行動にもかかわらず、国際企業メディアはほとんどの場合、「暴動」(CNN,10/19/19)、「暴力的騒乱」(CNBC,10/21/19)、「大混乱」(NPR,10/19/19)といった軽蔑的な言葉でそれを呼んでおり、人民に対する戦争に至る道徳的な開戦の原因を提示している。

 啓蒙的に、「弾圧」として政府の残虐な抑圧を描いたり、ピニェーラ体制に疑問を呈する主要放送局はない。ピニェーラは2017年に当選したが、登録有権者の26%の支持しか得られていなかった。

 国際ジャーナリストが、国立人権研究所が報告した人権侵害の申し立てに言及し始めたのは本当である。その報告には10月23日の段階で、173人が撃たれ、18人が死亡し、そのうち少なくとも5人が当局の手によるものと推定されている。

 しかし、チリの国家暴力の被害者は、ベネズエラで抗議参加者の死に捧げたほどの国際報道の配慮を受けることはどこにもなかった。ベネズエラでは死者を感動的に描き(New York Times.6.10,17:BBC,5/14/17)、彼らが反対派のリンチによって殺されたのではないことを記事にした。

 二つの象徴的な事件では、マニュエル・レボジェド(23歳)は10月21日コンセプシオン近くで海軍の車両に轢かれた後死亡し、一方、エクアドル国籍のロマリオ・ベロス(26歳)は翌日ラ・セレナでの抗議行動中に射殺された。どちらの男性も西側メディアによって名前で報道されることはなかった。

 米国企業ジャーナリストの目に価値のある被害者というのは西側の外交政策の利害関係の観点から宣伝価値のある被害者だけであるように思われる。記者たちは、時には「やり過ぎだ」とたしなめる場合ですら、無意識のうちにピニェーラのような新自由主義的テクノクラートに共感を持っている。

 「ピニェーラ氏は不安を煽る広範な抗議にも気を配っていると述べている。しかし、彼は住民の本当の不満の原因を掴むのに苦労しているように見える」とニューヨクタイムズ(10/21/19)は同情的に観察しているが、後で彼が自身の国民に「戦争」を宣言していることに気付いている。

 「僅か数十年前に秩序を回復するという名目で軍隊が数千人の人民を殺害し、拷問を加えたこと」を考えれば、チリ国民は戒厳令の強制を「不快なもの」と見抜いている可能性を記録文書は示唆している。しかし、「チリの騒動に関して知っておくべくこと」という見出しの記事であるにもかかわらず、国家治安部隊が街頭に出たデモ隊に重症を負わせ、殺害し、そして逮捕した者に拷問を加えていると言われていることを少しでも取り上げることはそれとは関係がないことだとタイムズは判断したのだ。

 市民に提供されている支配的なストーリーは、ピニェーラ政府は抗議行動に対しては「無能」ではあった(Economist,10/20/19;Reuters,10/21/19;New York Times,10/21/19)が、決して犯罪的な残虐なものではなかったというものである。

 西側の新聞は、いつもベネズエラの場合にやっているように(FaIR.org,4,11,19)、ピニェーラを「独裁」と呼び、「民主主義を回復させる」行動を取ることを政府に要求するような酷評する論説を発表したことが無い。むしろ、彼らは億万長者の大統領に「不平等」に取り組むように助言することはあるが、ますます国家テロと似てきたことについての言及は封じ込めている。(New York Times,10/23/19;Guadian,10/23/19;Bloomberg,10/23/19)

 企業ジャーナリストはピニェーラを「中道右派」と描いて誤魔化し続けている(Guadian,10/21/19;CNBC,10/19/19)。そして、殺人的な独裁者アウグスト・ピノチェトやその内閣のトップの人間と個人的なつながりがあることを隠している。

 

【エクアドルの「暴力」】

 

 企業ジャーナリストは、IMFが押し付けた緊縮政策に反対してエクアドルの先住民が最近主導している反乱には僅かに同情を見せているが、「暴力的な抗議行動」という見出しで説明することが多い。(CNN,10/8/19;Guadian,10/8/19;USA Today,10/9/19;Finacial Times,10/8/19)

 モレノ大統領は、路上のデモ隊を弾圧することを兵士に命令し、外出禁止令を出し、市民の基本的自由を停止させ、ライバルの政治家を逮捕しているにもかかわらず、国際メディアはまだ「独裁者」というラベルを貼っていない。

 彼が前任者のラファエル・コレアの左翼的な政策を継承するという選挙での約束を裏切って以来、そして彼が反対していたオリガーキーを受け入れて以来、モレノは西側エリートの最愛の人となった。(FAIR.org,2/4/18)

 チリでのように、企業放送局はモレノの残忍な弾圧を誤魔化した。この弾圧で7人が死亡し、約1,000人が逮捕され、同じくらいの人数がケガをした。しかし、企業放送局はエクアドルの危機の原因をあいまいにする点ではもっとひどかった。

 最近、ジョー・エメルスバーガーがFAIRで暴露したように(10/23/19)、西側ジャーナリストのお好みの嘘は、モレノは「前任者でかつての助言者であるラファエル・コレア元大統領が大規模なダム、高速道路、学校、病院やその他のプロジェクトのために融資を受けた時に膨れ上がった債務危機を継承したというものである。実際には、モレノの下で、公共事業ではなく、エリート優遇策のためにわずかに上昇したのだが、この国の債務対GDPのレベルは低く維持されていた。

 企業放送局は、抗議行動を指揮しているのはコレアとマドゥーロの支持者だという馬鹿げた主張を証明する証拠をモレノが提示していないことを大筋では認めているが、わずかな例外はあるが(DW.10/14/19;Reuters,10/12/19)、彼らは恥ずべきことに、全く同じ陰謀論を根拠にして正当化しているコレア主義政治家に対するモレノの極めて厳しい迫害を無視している。彼らがどれほどのクーデターを実行したかを無視して、ベネズエラの親米野党政治家にいつも与えているレッドカーペットのような取り扱いとこの報道は全く対照的である。(Reuters,4/30/19;LA Times,4/30/19)

 

【西側メディア憲兵隊】

 

 西側ジャーナリストがチリやエクアドルで排除され、搾取された者たちの暴力に驚いて立ち尽くす一方で、ベネズエラではワシントンに支援された野党エリートたちが先頭に立っていることを正当化していることは偶然ではない。

 この偏見は略奪や放火の量とは関係がない。むしろ、それは、直感的に暴力的であるが、礼儀正しいブルジョア社会のテクノクラシー支配体制に組み込まれた人種差別された貧しい者たちの地元の新植民地エリートや西側専門家階級の支持者たちに対する爆発である。

 エクアドルの抗議行動は長く続いた反新自由主義反乱の最新のものである。それは1997年から2005年までに3人の大統領を打倒した。

 チリで爆発している反乱は一世代を超えて最大のものであり、銃口を向けて押し付けた新自由主義モデルを維持するためにピノチェトがデッチあげた「低強度の民主主義」の正当性の末期的な危機であることを証明している。チリの蜂起はエリートたちを心から震え上がらせており、右翼の大統領に人民に戦争を仕掛けるように仕向けている。危機にあるのは重要な西側同盟だけでなく、もっと決定的に重要なことに、「サクセス・ストーリー」としてチリを支持して来た新自由主義的なイデオロギーである。

 企業ジャーナリストは、2017年以来すでに40,000人のベネズエラ国民を殺していると推定されている、ワシントンのベネズエラに対する制裁の影響を隠ぺいしている(FAIR.org,6/26/19)のと同じやり方で、米国傀儡国家と相対している彼らを覆い続ける可能性が高い。

 もし、戦争の最初の犠牲者が真実である場合には、国際メディアを自任した提供者たちの手は血まみれである。(N)

原文URL:

https://venezuelanalysis.com/analysis/14704

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趣旨

今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

おことわり

このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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