ベネズエラ:CLAPが攻撃されている

  • 2019.06.19 Wednesday
  • 05:11

少し古いですが、MisionVerdadに掲載されたCLAPへの攻撃に関する記事を紹介します。米国の最近の制裁は、今ではベネズエラ大衆の命綱となっているCLAP(供給・生産地域委員会)へ直接攻撃するものとなっています。これこそベネズエラ国民を人道的な危機に陥れる非人道的な攻撃です。米国は「人道的な」援助をしたいのであれば、即刻、国際法違反の非人道的な制裁を止めるべきだ。


攻撃されているCLAP:知っておくべきこと

CLAP under attack: all you need to know about it

2019年5月26日 misionverdad発

この供給プログラムは毎月約600万家族に対応している。|写真:Archive

 

過去20年間の企業エリートの米国支配階級によるベネズエラ攻撃は、色々なレベルや強度を持っていた。しかし、すぐに結果が出ないことで、かれらに経済封鎖の強化をさせることになった。それは公共サービスへのテロ攻撃と結びつけられて、社会的枠組みと国家の機能を混乱させようとしている。

 ベネズエラの民衆を経済的に絞殺する最新の戦術は、供給・生産地域委員会(CLAP)に狙いを定めた。それはベネズエラに対する米国の攻撃の影響に反撃する政府の旗印のプログラムである。

 

【CLAP:供給だけでなく、生産も】

 ベネズエラ政府は2016年4月のこのプログラムを立ち上げた。それは長い行列とバカケオへと繋がる継続した包囲攻撃対策として、第一にすべての国民へ商品を届けることを保証するために全国24州で行われていた直接分配と地域生産を基盤としたものである。(バカケオは商品を統制価格で購入し、3000ないしは4000%の追加料金をつけて不正規市場で販売するもの)

 これらの委員会は、政府と共に、トーモロコシ粉、食用油、米、パスタ、粉ミルク、黒豆と砂糖といった必需品の隠匿と闘うために、管理された食料品を家々へ分配することに責任を持つ大衆組織の新しい形態を構成する。

 「これは新しい生産ルートの始まりであり、その第一歩はこのアプローチの成功を発表する。」とニコラス・マドゥーロ大統領は話し、国内外を起源とする食品の単なる分配を越えて進む、この種の組織が生産をも目的としていることを強調した。

 それぞれのCLAPは相互に繋がった4つの機関を持つ。すなわち、全国婦人同盟(UnaMujer)、ボリバル・チャベス闘争同盟(Ubch)、フランシスコ・デ・ミランダ戦線(FFM)、それとそれぞれの地域のコミューン住民評議会である。その第一の任務は地域の人口調査をすることである。誰がどこに住んでいるか、どのくらいの人がいて、何を必要としているかを記録する。彼らが食料コンボ(箱か袋)を受け取った時、コミュニティと組織に決まった場所で分配することを通知する。

 開始以来、彼らは、国内で1,000トン以上の魚を分配する魚CLAP、学校の制服を制作することに責任を持つテキスタイルCLAP、自身の袋詰めセンター、あるいは出産前後の死亡率を減らすために妊婦への配慮を推進する取り組みであり妊婦CLAPなど、分配と生産の様々なやり方で進歩してきた。

 

【封鎖と虚偽情報:コロンビアのケース】

 2017年の7月から8月にかけて、国民制憲議会(ANC)が選出され設置された後、CLAPによって大規模なレベルの食料分配が行われ、10,820,713家族に届けられた。同時に、国際的な介入を正当化する条件を作り出すために反チャベス勢力によって組織された進行中のクーデターの一環として、ベネズエラの人民にとってこの重要な取り組みに対して虚偽情報戦争が強化された。

 2018年5月、コロンビア政府は25,210箱のCLAPコンボを詰めた15のコンテナをベネズエラへ入国させることを妨害した。コロンビアの税関警察がカルタヘナでその作戦を実施し、当時のコロンビア大統領ファン・マニュエル・サンタナが発表した。このようにサンタナは、ペルーでのアメリカ諸国サミットの後、汚職との闘いという名目でベネズエラへ食料を入れることを妨害するためのコロンビア財務相と米国財務省による決定を認めた。

 この時、サントスは、ベネズエラの国際的な食料購入をいわゆるマネーロンダリングや違法な活動と結びつけた。それは、証拠のない非難とベネズエラ政治指導者に対する制裁の根拠として、ニコラス・マドウーロ政府に対するメディアの陰謀という枠組みの中で作られた、いわゆる汚職詐欺の一部をなすものである。

 それは、この大統領が代表するコロンビア・オリガーキーがこの地域における反ベネズエラのリーダーシップを取った瞬間であり、ベネズエラと近隣諸国の会社の間で食料の売買を妨害することを狙ったものだった。

 

【更なる妨害と虚偽情報:メキシコのケース】

 その年の10月、エンリケ・ペーニャ・ニエト政府下のメキシコ共和国の検察庁は、主食の販売に従事している個人と会社、およびベネズエラ国民の公共資源を入手している個人に対して異例な捜査を開始したと報告した。

 メキシコの検事総長アロンソ・リラから提供されたこの情報は、彼はベネズエラ向けの1,300,000箱のコンボが入った1,300の食料コンテナがメキシコにあると述べていたが、別の会社と接触しそれらを入手して様々な国々へ送ろうとするいわゆる闇業者の存在を暗に仄めかしていた。

 リラは、犯罪のために「補償合意」として、被告人は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)へ300万ドル支払うべきだと述べた。さらに、彼らは、CLAPプログラムに関連する食料や医薬品の出荷あるいは売買を行うベネズエラ政府ないしは第三者に商業的性格の行為をしないように通告した。

 国務省から資金援助された通信社などは、コロンビアのビジネスマン、アレックス・サーブが暗示したように、CLAPのコンボの食料入手と分配における汚職行為を非難する一連の報道を行った。

 ベネズエラの大統領はこの時、「ベネズエラはCLAPの食生活を補足する必要な商品を買い続ける。それは600万世帯に達している。」と発言し、メキシコの検察事務所はベネズエラ国家との貿易を行う会社を恫喝するために「嘘の疑惑、捜査」を設定したと述べた。さらに、彼は、ビジネスマンたちの苦労のおかげで食料が何とか同国へ運ばれたことを取り上げ、「ベネズエラへ売るビジネスマンがいなくなるように」メキシコで生産する会社が奇襲されたのだと断言した。

 「高値や質の悪い商品の購入を避けるためにあらゆることしたが、それらは良質の商品で、支払われるべき価格で支払われたことが判明した。偽善者、フェイク、独善者...」と彼は付け加えた。

 もう一つの側面から、米国・メキシコ・コロンビア石鹸の生産者たちは、「天国の主」と呼ばれている。それは、この国へ食料を輸入するためのおそらくメキシコとベネズエラ間の怪しい陰謀交渉を含めて、麻薬密輸と関連する犯罪への弁明のためにベネズエラでは禁止されている。

 

【もっと強化された攻撃と虚偽情報:国内攻撃】

 2018年1月、ANC前での演説で、この構想の全国コーディネーター、フレディ・ベルナールは、2017年の食料分配の落ち込みは、経済戦争を組織したセクタが暴力グループによる政治的暴力(4月から7月にかけてのカラー革命)などの攻撃を強化したせいであるが、米国の金融包囲攻撃も同国への食料輸入を困難にしていると非難した。

 当時、防衛大臣であり、ゾブリン供給大ミッションの代表だったウラジミール・パドリノ・ロペスは、経済的サボタージュのせいで食料コンボの到着遅れはあるが、中でもホワイトコーン、大豆かす、イエローコーン、米といった原材料と一緒に全国政府の保護政策の一部として、コンボを詰めた1,500以上のコンテナは到着すると断言した。

 そうしているうちに、USAIDの遠隔操作ネットワークは、CLAPボックスとは関係のない食料品価格をベネズエラ人グループが投機的な構造にしたことを見ないで、さらにベネズエラ国家から財政支援をうけていた国内「生産」セクタが消え去ったことを無視して、ボックスの中に高値の商品を詰めた陰謀スキームだとする噂を広めたが、国内消費者のために生産を作り出そうとする行動を取ることはなかった。

 メキシコ、トルコ、ウルグアイ、ブラジルなどの国々から輸入した商品がCLAP内にあるのは、この国内生産が機能不全だからであり、それはまた2014年以来課せられている金融封鎖措置の結果でもある。しかし、古い企業メディアは、全国政府によって決定されたそのような代替策はベネズエラ国民の多数の要望に応えることのない「欠陥システム」のせいであると決めつけた。

 ペーニャ・ニエト政権がCLAP用の食料供給を阻止しようとした時、国民議会(AN)は、すでに法廷侮辱状態にあったが、メキシコ国家が実施している疑惑の捜査に協力したと声明した。「議会側のフォローアップと協力はあったが、税金が回避されたと考えられた時にはメキシコは警告を出していた。」と議員ファン・グアイドが話していた。

 2018年10月に、反チャベス派議員フレディ・スペラノは、法廷侮辱状態にあるベネズエラ議会の委員会はメキシコにあり、CLAPの汚職スキーム疑惑を捜査しており、正式にメキシコの検察に苦情を提訴したと述べた。訴訟の過程やメキシコによる最終判決は不明である。

 彼はさらに、9社から14の会社がメキシコでただ見せかけだけのために登録されたと述べた。「彼らはベネズエラに追加料金を請求した。メキシコの商品に112%を上乗せしたものもあるが、その他の商品では、牛乳の場合は最大777%の過剰を請求した。」この議員が検察に苦情を提出したかどうかは不明である。彼の憶測の目的は、制度的な枠組みの無知に基づいて反チャベス主義的な計略に新たな要素を追加するために、ベネズエラの大衆にとって重要な社会政策に反対するストーリーを大きくすることである。

 スペラノは、国民議会は国内に食料を持ち込むことは反対していないと主張しており、「国内にあるわずかな食料を政府が持ち込まなければならないという構想全体について話しているのであり、政府が何年も前から生産することを止めたというのは嘘ではない。」と密輸の存在と民間セクタが行っている外国為替の逃避を無視している。

 

【失望のサインとしての妨害】

 去る2月27日、グアイラ港にある食料コンボの箱が集められていた倉庫が明け方に燃やされた。大統領護衛指揮官で、当時電力相だったルイス・モッタ・ドミンゲスは、「これはベネズエラ人民に対するテロ行為である。国家機関に対する妨害行為である。野党の欲求不満と失敗は彼らのこのような惨めな行動を取らせている。これは人道に対する犯罪である。」と述べた。

 モッタは、食料と包装された材料の両方で、損失は相当な量になると指摘した。フォークリフト、棚とインフラにも損害がある。

 バルガス州の州知事ホルヘ・ルイス・ガルシア・カルネイロによれば、この事件は消防隊とボリバル国軍(FANB)の隊員によって60%で消し止められた。彼はさらに、「食料配給に混乱を作り出すために、不謹慎な輩、テロリストたちが、実行することが可能な最も恐ろしい行動の一つと考えるもの、それは我が人民に食料を与えないことだが、その一部に放火した。」と述べた。

 彼は、火事が起きたところには「ショートやそれに類似することが考えられる電気コンセントが無い」という事実を考慮して、テロリストの仕業であることを排除しないと述べた。

 

【ワシントンが今や(直接)CLAPに対立する】

 フレディ・ベルナールが去る5月19日に、トランプ政権は「ベネズエラへ食料を輸送する12の船舶会社のうち10社を制裁した。それは同国への商品の到着を数日遅らせる。1カ月以内に到着するものが今では3か月かかる。」と警告した。

 船舶会社に対する強制的な行動に加えて、国によって銀行振り込みのための直接支払いがしばしば拒否され、第3国経由で支払わなければならなくなっている。支払いは「20日以内に執行されたが、今では45から60日かかる。」とCLAPの代表が説明した。

 その同じ週に、ロイターは「この問題に詳しい情報筋」からの情報として、米国が「ニコラス・マドゥーロ大統領政府のために資金洗浄をするために、軍によって管理されている食料支援プログラムを利用している高官とその他の疑いのある者に対する制裁と刑事訴訟を準備している。」と報道した。

 5月22日、EFEは米国のベネズエラ攻撃の表の顔であるエリオット・アブラムスの声明を発表した。その声明では、米国は供給・生産地域委員会(CLAP)という食料支援プログラムを違法に強化したチャベス主義の高官」に対する制裁の新しいパッケージを準備していると述べている。

 「彼らはこのプランが汚職であると分かっており、我々はそれを知り、詳細を捜査中である。我々は制裁と(司法上の)告発する発表する日は決まっていない。」とアブラムスが述べた。この記者は米国が資金洗浄容疑でFANB将校に対する制裁と刑事訴訟を準備していることに言及した。

 これらの制裁の実際の影響はすでに明らかになっている。すなわち、制裁はより多くの食料入手をスローダウンさせ、ベネズエラの住民に対して企業エリートとその経営者たちによって引き起こされる混乱と危機を深めることになるだろう。1月以来ベネズエラに対する攻撃を強化しているトランプ政権は、「マドウーロとその忠誠者への資金の流れ」を削減するために向こう3カ月以内にこれらの制裁を実施するとみられる。

 ベネズエラ・ボリバル共和国を弱体化させる道筋では、誰が食べるに相応しいか、誰が腐敗しているか、どの企業が犯罪を起こしているか、どんなペナルティや罰金を支払わせるかを米国は全く恣意的で一方的に決めている。それ故、ベネズエラ国家の破壊が、前述したエリートが何の制限もなく統治する新しい秩序を確立する方法となる。(N)

原文URL:

http://misionverdad.com/Mv-In-English/clap-under-attack-all-you-need-to-know-about-it

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    趣旨

    今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

    おことわり

    このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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