在米ベネズエラ大使館をめぐる攻防のその後

  • 2019.05.21 Tuesday
  • 10:29

実際に大使館内に残っていた反戦活動家たちのウエブサイトに掲載された記事を紹介します。逮捕された4人は翌日釈放されたが、クラスAの軽犯罪で告訴され、最高1年の投獄か1,000US$の罰金が科されている。しかし、1部メディアの報道にあるように、「不法侵入」では起訴されていない。5月18日土曜日には事前発表通りにベネズエラ大使館前で集会を行い、釈放された4人も参加した。


ベネズエラ大使館への攻撃

The Assault On The Venezuelan Embassy

2019年5月19日 popularresitance(By Bill Van Auken, WSWS)発

ベネズエラ大使館からホワイトハウスまでデモ行進するアーニャ・パランピル、アドリエネ・パイン、デビッド・ポール、マーガレット・フラワーズとケビン・ジーセ。ボブ・ウィタナク撮影

 

 ジョージタウンというワシントンの上流階級の地区にあるベネズエラ大使館で木曜日に発生した出来事は、世界中で米国帝国主義の作戦を特徴づける国際法に対する犯罪行為と軽視であるという縮図を表すものとなった。

 米国のシークレット・サービス捜査員、ワシントンのメトロポリタン警察、外務省セキュリティ・サービスの捜査官、数百人の武装した男たちが、ベネズエラ政府の招請で先月から大使館内に代表して留まっていた4人の平和的な反戦活動家を排除するためにこの建物を襲撃した。

 配備された部隊には、戦闘服を着てヘルメットをかぶった捜査官も含まれ、大使館に突入するために充電式の油圧式シリンダも携行していた。建物内部に送り込まれた部隊は防弾チョッキを着ていた。

 この圧倒的な軍隊の配備は建物内にいるのは少人数の活動家であること、そして逮捕が違法なものであると考えても抵抗はしないと米国当局に事前に保証していたことを考えれば、ほとんど不要なものだった。それは米国の力の誇示、国内外双方の陰謀に反対するものは誰であれ脅迫するという行動、法律を無視することを正当化する目に見える声明として実行された。

 ベネズエラ政府は、1963年に米国政府が署名し、世界中の実質的にすべての国が順守している外交関係に関するウイーン条約全体に違反するものとして大使館への侵入を非難した。

 それは大使館とその他の外交施設は「不可侵」であり、外交使節首脳の許可なくホスト国の代理人は入ることができないと確認している。それは同様に、ホスト国政府には「いかなる侵入や損傷に対して外交関係建物を保護すること、そして施設の平穏を乱すこと、あるいはその尊厳を傷つけることを防止」することが要求されている。

 ワシントンはあらゆる点でベネズエラ大使館に対するこれらの条項を踏みつけた。建物へ強制侵入する以前にも、大使館の外に結集したファシストの群集と右翼の悪党が現地にテントを設置し、内部にいる活動家を支援している人々や、内部の活動家に食料を持ち込もうとする人々に身体的な攻撃を加えるのを許した。この連中は繰り返し大使館へ突入しようと試み、その建物に傷をつけ、内部にいる活動家に殺してやるとかレイプしてやると脅した。

 警察がこれらの違法行為のうち最も酷い行為を止めさせようと介入しても、すぐに加害者を解放し、リンチしようとする暴徒の雰囲気を手助けし、煽った。

 数十年間、1979年11月の出来事によってワシントンは、イランをいわゆる「ならず者国家」として扱ってきた。革命の苦闘の中で、戦闘的な学生がテヘランにある米国大使館を襲い、米国人を人質とした。ワシントンは国連と国際司法裁判所へ行き、攻撃を阻止できなかったイラン政府をウイーン条約に違反したとして告訴している。

 イラン政府はこれらの訴訟に参加しなかった。その代りに、モハムド・モサデクという国民政府を打倒したCIAが工作した1953年のクーデター以来の4分の1世紀に亘ってイランにおける米国帝国主義は犯罪行為を犯してきたのだという状況を考慮しなければならないと主張した。それらの犯罪行為はワシントンがシャーの独裁や憎悪された秘密警察サバクによる殺害や拷問を支持してきたことによるものである。イラン政府は、大使館問題の解決は米国がイランへシャーを引き渡すこと、および彼が持ち去った莫大な富を返還することによってのみ解決できると主張した。

 イランの米国大使館をめぐってハーグ裁判所に提訴してから6年後、ワシントンはニカラグアに対するコントラ・テロ戦争の訴追を避けるために、その裁判権を放棄した。

 米国が「ならず者国家」になると、アメリカ合衆国政府に対抗できる政府は地球上に存在しない。

 ベネズエラ大使館への襲撃で、米国政府は、ワシントンの支援を受けた極右で1月にベネズエラの「暫定大統領」を自称したCIA支援の政治工作員ファン・グイアド「政府」代理の行為だと主張している。約4カ月経って、グアイドの勝手な「就任宣誓」で始まった体制転覆作戦は終わりに近づいてきた。マドゥーロ政府打倒を軍部にあからさまにアピールしてクーデターを達成しようとした4月30日の陰謀は、軍隊の反乱を引き出すこともできず、大衆の多くの支持を得ることも出来ずに惨めに失敗した。

 大使館の差し押さえは、体制転覆を望んでいる米国の直接的な軍事介入をますます公然とアピールする一環である。

 大使館は今、カルロス・ベッチオと米国が資金援助しているグアイドの極右『人民の意志』党の仲間が占拠している。ベッチオはベネズエラで暴力を扇動した罪で起訴された後、亡命した。グアイドがベネズエラの「大使」として宣言したものの、自称「暫定大統領」である彼は、ベネズエラの人民をも、実際のどんな政府をも代表していない。彼の「大使」はパスポートやビザの発行、ならびに外交使節共通のその他の業務をすることができない。

 むしろ、彼とグアイドの二人はワシントンの代理人として雇われている。彼らは、地球上最大の埋蔵量を持つベネズエラの石油に対する米国のエネルギー複合企業による自由な支配を確立し、ベネズエラと米国帝国主義が長い間「自身の裏庭」と見なしてきたラテン・アメリカ全般への中国およびロシアの影響力を後退させようとする米国の衝動を進める上の人質である。

 米国のシークレット・サービスによって新しく据えられた「大使」としてのベッチオの最初の行為の一つは、月曜日にペンタゴンの南方司令部(SOUJCOM)の首脳たちとの会談だろう。彼らはラテン・アメリカとカリブ海における米国のすべての軍事作戦を監督している。SOUTHCOMへの手紙で、グアイド同志は、その目的は「我々の民主主義を回復できるように戦略上、運営上の計画を立てる」ことだと書いている。

 この「民主主義」は、同国の石油資源をエクソン・モービル、シェブロンやその他のビッグ・オイルへ引き渡すことを約束したベネズエラのオリガーキーの最も右翼的な政府を設立するために米軍が体制転覆のための戦争をすることである。そのような体制は血塗られた戦争とベネズエラ労働者階級への最も非情な弾圧という手段によってのみ押し付けることが可能となる。

 ベネズエラ大使館への侵略によって、ワシントンは先例を固めつつある。米国は世界中のどんな政府をも打倒する権利、自分の傀儡を選んでその首脳に置き換え、米国の軍事介入に協力し合法化を支援するために、ワシントンに同国の大使館代表部を設置する権利を主張する。

 この犯罪的な行為に米国のほとんどの企業メディアは沈黙をまもり、僅かに登場する報道で正当化されている。特筆すべきはニューヨクタイムズの報道である。その記事では、「介入に反対する白人アメリカ人の活動家のグループが占拠しているというベネズエラ外交の複雑な対立が、大使館を取り囲んだ主にベネズエラ人抗議行動の間での怒りの原因となっていた。」と書かれていた。

 全く下品なナンセンスだ!大使館を取り巻いていたファシストの悪党にあった「怒り」は、米国の体制転覆作戦に反対している人々の人種的、民族的なアイデンティティに対するものでは無く、むしろ、彼らが米軍の支援で権力に戻りたい亡命した右翼とオルガーキーの邪魔をしていることに対するものだった。その習慣のままに、タイムズは帝国主義者の犯罪を正当化するために右翼と分かる政治的発言を利用している。

 民主党内のトランプ政権の表向きの政治的反対派からは何の兆候も無く、バイデンからサンダースまで、彼らすべてがベネズエラの体制転覆作戦の背後で整列している。

 ベネズエラ大使館の包囲攻撃は、米国の支配エリートの一層の利益の拡大というその違法な目的を達成するために右翼ギャングと並んで大規模な警察権力を結集したことによって、米国と世界中の労働者階級への警告となっている。

 階級闘争の復活とグローバル資本主義制度の解決できない矛盾に直面して、資本主義を支配している米国とすべての国のエリートたちは、民主主義的な原則やプロセスという口実すら捨てて、より公然と専制支配とファシストおよび右翼勢力の拡大へと舵を切った。

 ワシントンのベネズエラ大使館の襲撃は、米国の戦争犯罪を暴露したウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジに処罰を求めている米国の検察の代理として、イギリス警察の緊急部隊がロンドンのエクアドル大使館のドアを開けさせたことに続くものである。アサンジに対する起訴は死刑という結果となる可能性がある。

 ベネズエラでの戦争の脅威と闘うと共に民主的権利を防衛することは世界の労働者階級の責務であり、彼らの利益は米国の支配階級内の戦争屋や民主党やメディアといったその追従者の利益とは対極にある。(N)

原文URL:

https://popularresistance.org/the-assault-on-the-venezuelan-embassy/

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趣旨

今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

おことわり

このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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