ベネズエラ:経済危機の中のコミューンの闘い

  • 2019.05.15 Wednesday
  • 06:23

ベネズエラには、野党だけでなく、ボリバル革命を推進しようとする側にも沢山の潮流があり、米国の帝国主義的干渉に対しては一致して断固として闘うが、内部では相互に率直な批判や闘いがある。それはベネズエラの民主主義の幅広さであり、ボリバル革命の力強さの源泉ではないかと思う。


ベネズエラ危機:コミューンから見た景色

(Venezuela’s Crisis: A View from the Communes)

2019年5月10日 venezuelanalysis(By Federico Fuentes - Green Left Weekly)発

フェデリコ・フエンテスが草の根のコミューン組織および、人民権力と政府部門間の緊張を調査する。

Altos de Lidice, Caracas (Joe Montero)

アルトス・デ・リディセ、カラカス。(Joe Montero)

 

 4月30日にニコラス・マドゥーロ大統領対する軍事クーデターを支援するために、ベネズエラの野党指導者ファン・グアイドが街頭への結集を呼びかけた数時間の間に、グアイドの支持者たちは西カラカスにあるインディオ・カルクアオ・コミューンの本部を略奪し、火を点けた。

 この建物は地域住民の集会に利用され、コミューン経営の縫製会社に提供されていた。その会社はコミュニティで資金調達されたプロジェクトだった。

 コムネラス(コミューン活動家)全国ネットワークのアテネア・ヒメネスは、「またもや、ファシストによるコミューン攻撃が始まった。」と話した。

 彼女はしかしながら、コムネロスは「政府の一部からの迫害にも直面している」ことを指摘し、ポルツゲサ州にある国有のコメ加工工場を占拠していた10名のコムネロスが3月23日に逮捕され、71日間拘留されたことに言及した。その占拠というのは、その工場を運営するために雇われた個人経営者が地元の生産者との協力を拒否したことを糾弾したものだった。

 「何故、こんなことが起きるのか?何故なら、コミューンは権力に異議を唱える唯一の空間だからだ。それは、直接民主主義を建設するための数少ない、本物の、自己開催型の空間の一つだからだ。」と彼女は話した。

 

【草の根の力】

 ベネズエラのコミューンは、住宅、健康、教育や地域コミュニティの基本的なサービスの利用などの問題に取り組むために、都市部では200-400家族、農村部では20-50家族で構成されるコミューン住民評議会を統合しようとしている。優先すべき問題の決定、その取り組み方は市民の集会で決められる。

 コミューンという考え方は地域コミュニティがより大きなプロジェクトに取り組むためのものであり、コミュニティが所有し、運営する会社を通して自立的なものとなることである。

 ウーゴ・チャベス元大統領はコミューンを自治と参加型民主主義を基礎とした新しいコミューン国家の基礎となる建設ブロックと見ていた。

 私が3月にベネズエラを訪問した時に話をした活動家の多くは、本物のコミューンや評議会はまだ少ないと思うと話していたが、コミューン省によれば、現在、47,000以上のコミューン住民評議会が登録され、3,000近いコミューンがある。

 ヒメネスは、「コムネロ運動は過去10年以上に亘って自身を強化し、コミューンに影響を与えてきた。」と説明した。

 この期間に「新しいコミューンが生まれ、興味深い前進が起き、そしてもちろん、道端に倒れてしまったコミューンもあった。」

 「しかし、コミューンは依然として活動的であり、非常に興味深いレベルでの政治的、イデオロギー的強化を達成した。そして、前進を継続する決意を持っている。」

 「我々が手にしたものは10年間の活動の蓄積であり、問題が存在しても自主管理を通してそれを一緒に解決できるという理解を基礎とした強さである。」

 

【自主管理】

 カラカス中腹のラ・パストラの高いところにある7つのコミューン住民評議会をまとめている、アルトス・デ・リディセ社会主義コミューンのグスース・ガルシアは、「地元のコミューン住民評議会が、同じ問題を抱えているのだが、単独では解決することができないと気付いたこと」から、コミューンが生まれたと説明した。

 彼はさらに、コミューンは「単に問題を解決するために一緒になったのではなく、我々は本物の自主管理を建設するためにそれを越えて行きたいのだ」と話した。

 ガルシアは、チャベス主義者(チャベスの支持者)がコミューンを作りたいという気持ちを持っていることを知っていたが、アルトス・デ・リディセ・コミューンにはマドゥーロ反対派もいる。

 「不満のあるものも沢山いるし、反対派も沢山いる。それでも彼らはコミューンの活動力に関与しており、彼らはそれを拒否せずにそれを受け入れ、少しずつ、一緒にやればもっと可能性が広がることを理解している。」

 「彼らは、我々は一緒にならなければ、我々双方が苦しむと理解している。だから、我々は我慢し、お互いに理解し合わなければならない。」

 「我慢のレベルに驚くことがある。よその国では、今年と去年に起きたあらゆることで、その国は爆発していると思う。」

 23デ・エネロ地区に近い、パナル2021・コミューンには8つのコミューン住民評議会と3,600家族が所属しているが、多くのコムナロスは地域自主管理の模範と見ている。

 パナル2021の活動家クカラチョは、コミューンはクジや活動を通じた資金集めの活動から始まったと説明した。コミューンは共同管理の期間を経験して、プロジェクト用の国家資金を受けて、そして今では自主管理となった。

 パナル2021は、自身のパン工場、縫製工場と砂糖の袋詰め工場、それと食料倉庫や分配センターを持っている。これらのコミューン経営企業から得られた収益はコミューン銀行に預けられ、市民集会で資金をコミュニティ・プロジェクトへどのように分配するかを決定する。

 自身の資金を生み出すパナル2021の能力は、現存するほとんどのコミューンと同じように、存在し続けるためのキーとなっている。経済危機の始まりと共に、国は地域コミューンに対する資金援助を大幅に停止している。

 PSUV(ベネズエラ統一社会党)内の急進的な潮流の一つであるボリバル・サモラ革命運動のフリアンは、これはコミュニティの組織化のレベルに影響を与えたと考えている。「政府がプロジェクトに資金援助した時、人々は自分たちの問題を解決できると感じて、ある期待が生まれ、参加を促した。

 「しかし、現存する強い金利生活文化(レンティア・カルチャー)を考えれば、多くの人が言ってきたことが起きた。すなわち、『もし、我々が何も受け取れなければ、我々は何もできない。』その場合には、コミューン住民評議会はコミュニティ内部のガスボンベのような政府のサービスを分配する管理へと自身を大きく制限する。

 「自主へ組織することへのコミュニティの能力を生成することを援助することに十分な配慮を払うことなく、最初に参加を促進することに集中したことは失敗だった。」

 「今日最も活動的なコミューンは政府とあまり関係を持っていないコミューンであり、(PSUV)はそれらを統制していない。」

 

【緊張】

 危機の時期にコミュニティが必要とするものを満たす食料の生産と分配は、カラカスを含めて、多くのコミューンの最優先となった。

 パナル2021は田舎のコミューンと結びついて都市へ食料の供給を受け、民間のスーパーマーケットよりもずっと安い価格で販売している。

 ヒメネスは、多くのコミューンは同じことをしていると言っている。「コミューン間で食料とサービスを交換する制度がある。いろいろなレベルの複雑さで機能しているが、改善されつつある。」

 その重要性にもかかわらず、あるいはその重要性の故に、食料生産と分配は国とコムネロ運動間の緊張のキーポイントである。

 数年前、コムネロ全国ネットワークが、食料生産と分配のための全国的なコミューン企業を創設するという提案をマドゥーロへ手渡した。

 その提案は、必要な人へ安い食料が届くことを保証するために、民間の仲介業者ではなく人民によってコントロールされた制度を通じて、すべてのコミューンと農民が農民の生産物を分配できるというものだった。

 ヒメネスは、「我々の企業ビジョンは農村で生産されたすべてのものが失われることなく分配される必要があり、この後で初めて我々が生産できないものを輸入すべきであって、この逆ではない。」と説明した。

 ところが、政府はスペイン語の頭文字をとったCLAPとしてよく知られるようになった食料分配生産地域委員会を立ち上げた。

 ヒメネスは、その名前にある生産のPは、CLAP を形成する過程に、生産する人々、農民とコムネロは含まれていなかった。」と指摘した。その代り、これらの委員会はほとんどが地元のPSUVの職員によってコントロールされ、「CLAPを通して分配されたあらゆるものが輸入された。」

 ヒメネスは、これは「コミューンの統制が難しいという理由で、コミューンでは提案は集会で討議しなければならないという理由で、既存の組織を有利にすることを意味した。一方、CLAPでは、何をすべきかを人民に簡単に言うことができるのだ。」と話した。

 実際には、フリアンによれば、これは、多くのコミュニティでは、CLAPはコミュニティ組織の中心課題としてコミューンを上回ることになった。「その他の仕組みが存在しないということではない。多くの人にとって最も重要な問題が食料入手であったことから、最も活動的な仕組みがCLAPであるということである。」

 「幾つかのケースではCLAPはコミューンを弱体化させた。CLAPがコミューンではなく、党の影響を受けているからだ、これはよく考え抜かれたものだと思う。」

 「党は、コミューンやコミューン住民評議会を推進する上で重要な役割を果たしてこなかった。いくつかの場所では例外はあるが、党は選挙問題と政府に集中して来た。」

 「コミューンが非常にダイナミックであるために、コムネロスはいつも、党と、地域の市長や地方自治体と対立状態にあるという一般的なイメージがある。それは自主管理という理念に根拠がある。」

 「コムネロスは、人民が自治を始めることができるようにするために、地方議会からコミューンへと責任を移すように提案してきた。」

 「これは、一方でのコムネロ運動、他方での自治体職員の間に緊張を生み出した。多くの場合、自治体職員にとってはビジネスなので、カラカスのゴミのような集団に責任を移行したくない。」

 「党がCLAPと一緒になったという結果は、党がそれを作り出し、管理しなければならないということだと私は考えている。党は、コミューンの民主的で戦闘的で独立的な性格のためにコミューンを統制することができないが、CLAPを運営する人を指名することはできる。」

 「強い金利的でお客様的文化の存在は、人民がCLAPの方に引き付けられてくことを意味する。それには政府の資金援助と支援があり、CLAPは多くの場所で組織の中心へと変質していった。」

 

【愛憎半ばする関係】

 状況を要約して、ガルシアは「現在のゴタゴタを考えれば、国はすべての問題を解決する能力を持っていないが、人民はあらゆるところで自分たちの問題を解決しようとしている。」と語った。

 「そして、政府が抱えている大きな問題の一つは、場所を譲ることが難しいことであり、人民が自分たちの問題を解決できるように、手綱を放したくないことである。」

 「だから、政府とコミューンの間にあるのは愛憎半ばする関係である。」

 「弱さや失敗を持っていたとしても、それは我々の国であり、我々の政府である。同時に、我々は闘わなければならない関係にある。我々はそれを否定するつもりはない。」

 「我々が必要としているあらゆる食物を輸入すれば、我々が食料を生産する必要があるのだと我々に理解させないことになる。しかし、助けるのではなく、人民が必要とする食料を保証し、栄養不良の子供たちの状況に取り組もうとしている時に、国は様々な官僚のハードルを設けている。」

 「コミューンと一緒に我々がやろうとしていることは、この政府と一緒でなければできない事を我々は理解している。別の政府ではこのような可能性はないであろうし、ましてクーデターで大統領になりたがっているグアイドの右翼政府のような下ではなおさらだ。」

 ベネズエラで次に何が起きるかに関係なく、フリアンは、過去20年以上に亘って積み上げてきた強固なコミュニティ組織は簡単には無くならないと信じている。「まだ沢山の強度と高いレベルの組織がある。どこを見ても、コミューン、協同組合、いろんな種類の委員会や組織を見ることになるでしょう。」

 「もし、(政府が)倒れても、その組織はずっとここに残るだろう。この巨大な参加型の精神は依然として存在し、それを解体しようとする政府にとって悩みの種となるだろう。」(N)

 

この記事に表明された見解は著者自身のものであって、必ずしもベネズエラアナリシスの編集スタッフの見解を反映したものではありません。

原文URL:

https://venezuelanalysis.com/analysis/14478

 

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趣旨

今、ラテンアメリカでキューバを先頭とする社会主義、ないし社会主義を志向する大衆闘争が注目です。特に、昨年末(2015年)アルゼンチン、ベネズエラで右翼が勝利し、米国に支援された反動右翼と進歩的な人民大衆との熾烈な階級闘争が繰り広げられています。日本のマスコミは歪められたものしか報道していません。 だからこそ今、目の前で闘われている大衆闘争について現地の報道機関やブログで報道されているものを日本語にして日本の労働者に紹介していくことは、国際連帯としても日本での民主主義を闘いとる闘争にとっても有意義なことであるように思います。

おことわり

このブログでは英文記事を翻訳してご紹介しておりますが、筆者はかなずしも英語に堪能であるわけではありません。 従って、多々誤訳等があるかと思いますが、ご容赦願います。

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